緋ニッキ

東京近郊のTRPGプレイヤー緋のブログ。トーキョーNOVA THE AXLERATIONのシナリオ、ダブルクロス等のダイスアプリ、Skypeオンセのノウハウ等を公開しています。

NOVAシナリオ公開企画「RSS」のあとがき、2014年4月15日改訂

トーキョーNOVAの第5版である「トーキョーNOVA THE AXLERATION」が発売されて半年ほど経ちました。版上げの直後に遊べるシナリオを提供することで、僕の周りのコミュニティでTNXのプレイ機会を増やすという趣旨で「Redman’s Scenario Support(RSS)」をはじめました。

シナリオ公開後の振り返りとして、この記事を起こします。

(主にスタッフ、RL、プレイ済みの方向けのコンテンツになります)

1.企画の成果

スタッフ向けの項目です。

TNXのプレイ機会は目に見えて増えました。自分の周りでも関係者で集まって自分が主催してテストプレイをすること、友人にシナリオを渡してテストプレイを主催してもらうこと、そのフィードバックを受けるという公開までのサイクルの中でTNXを遊ぶ機会がすごく増えました。

公開後も多くの方に見ていただき、遊んでもらえました。シナリオ公開後の半年で、本ブログの閲覧数は14000を超え、シナリオ単独で見ても多数の閲覧があります。SNSや口コミで、遊んだ感想なども多く伺っています。

それもこれも、皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

2.今後について

版上げ直後のシナリオが不足している期間に遊べる(完全な形の)シナリオの数を増やすという目的はある程度満たせたと考えています。当初目的は果たせたと考えていることから、一旦の区切りとして企画を終了したいと思います。

やりたいことをやれたのは、本当にスタッフ、関係者各位のおかげです。繰り返しとなりますが、ありがとうございます。感謝しています。

この企画は自分の周りでは大変好評でした。このため、1本だけ追加公開したいと思っているシナリオがあります。趣味に走った内容で、かける手間や公開ペースは今までと変わると思いますが、興味がある方は継続してブログを見てくださいますと幸甚です。

3.各シナリオの紹介(あとがき)

一覧として各シナリオを紹介した記事がありませんでした。アクトトレーラーの一覧と、シナリオに掲載しなかった「あとがき」的なものを以下にまとめます。これからRLをする方や既にプレイした方に向けた内容にしていますが、大きなネタバレはないのでプレイ前の方もご安心ください。

「あとがき」はプレイ後に読む!という方は見ないようにご注意ください。

■RSS1.「運命は導く」

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プレイデータ

  • プレイヤー:3~4人

  • プレイ時間:4時間 

アクトトレーラー

アカーシャ。ニューロエイジに無限の記録容量をもたらす脅威の記録媒体は、その技術が解明される前に工作員によって持ち去られた。

アカーシャの回収を命じられるクグツとフェイト。不治の病に罹患した少女を護衛するカブト。ニューロエイジを跋扈する殺人鬼ジャック・ザ・リッパーの暗殺依頼を引き受けた殺し屋。

オムニバス映画のように独立したそれぞれの物語は、運命に導かれるように収束し、加速していく。

かくて運命の扉は開かれた。

説明

「Northan†Cross」というレボリューション(第3版)時代に作ったシナリオをTNX向けにリライトしたものです。RI財団に当時のプレイレポートが掲載されています。ストーリーラインは変わっていないです。

各キャストの物語が距離感を保ちながらも交差するというところにNOVAらしさを見出して書いたシナリオです。元々の舞台はロンドンだったのですが、NOVAを舞台に直していて、これは成功だったと思います。

■RSS2.「失せモノ探し」

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プレイデータ

  • プレイヤー:3~4人

  • プレイ時間:4時間 

アクトトレーラー

世界は嘘に満ちている。

真実ほど人を傷つける物がないのなら、砂漠で砂粒一つを探す価値などありはしない。

それは、見過ごしてしまえば下らない事件。

それは、見つけてしまえば呆れる様なダイムノヴェル。

嘘で溢れた世界で、探偵は災厄の街を往く。

人物調査から猫探しまで、運命は見つけられるのを待っている。

説明

助清さん原作のフェイト主人公シナリオです。アクトトレーラーがとにかく格好いい。NPCに魅力があるシナリオなんですが、よく見ると骨太な背景設定もあり、RSSの他のシナリオを書く上でいろいろと教科書にしました。TNXからはじめてNOVAを遊ぶプレイグループで、公式シナリオを終えてRSSをやるときには、最初はこのシナリオか「運命は導く」をやるといいと思います。

■RSS3.「エトピリカは夢を謳う」

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プレイデータ

  • プレイヤー:4人

  • プレイ時間:4時間 

アクトトレーラー

光り輝くペンライト。大音量で流れる音楽。

観客達が歓声と共に君たちの全てを待っている。

歌声、ダンス、ビジュアル……そして魂。

嘴の黄色い小鳥はステージという名の大空へと羽ばたいていく。

かくて運命のステージは幕を開けた。

説明

こぺんさん原作のカブキシナリオです。新人アイドルのデビューを護衛するシナリオは過去にありましたが、アイドル(カブキ)をキャストとしてプレイし、成長していくという話は大変珍しいと思います。

アイドル物の文法を多く取り入れていること、全員が参加し、盛り上がるクライマックスのライブ成功ギミック。遊んだ人からよい感想が貰える評判のいいシナリオです。

■RSS4.「黄金の夜明け」

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プレイデータ

  • プレイヤー:4人

  • プレイ時間:5時間 

アクトトレーラー

ロマノフの黄金を知っているか。

帝政ロシア最後の皇帝ニコライ二世が隠した巨億の金塊だ。

ロマノフ王朝の滅亡とともに歴史に埋もれた金塊は、金融界のブラックホールと呼ばれる巨額の遺産となり眠っている。

伝説の鍵を握るのは、殺し屋の少女と、かつて別れた愛しい女。

黄金の夜明けとともに、世界の終わりの幕があく。

説明

ジ・アザーサイド発売以降の公開を予定していたので、プレイヤーも慣れているだろうと判断し、少し複雑(トリッキー)なシナリオにしています。ペルソナ/キーハンドアウトの採用、情報収集に連動して機動的にイベントが発生する工夫、ゲストに関する仕掛けなどが工夫点です。今のところ自作では一番複雑で歯ごたえのある内容になっていると思っています。

元々は「マローズを超える日」というレボリューション(第3版)時代に作ったシナリオをTNX向けにリライトしたものです。ロシア連邦のサンクト・ペテルスブルクを舞台にした大長編シナリオでした。RI財団に当時のプレイレポートが掲載されているのですが、こちらはストーリー自体が大幅に変わっています。

■RSS5.「クライオニクス」

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プレイデータ

  • プレイヤー:4人

  • プレイ時間:4~5時間 

アクトトレーラー

人は生まれたときから死にはじめている。

己の死期を悟った老人は、すべての力をもってこの運命に立ち向かった。遠い未来、人が死すら病として克服するときが来ると信じて。

しかし、老人は静かに息を引き取った。老人の一族も、後を追うように死神によって命を刈り取られた。 彼らの遺体は人体冷凍保存(クライオニクス)施設に送られ、氷の玉座で復活のときを待つ。

二人の娘に託されたものは、歪んだ理想か、家族への愛か。

固く閉ざされた氷の奥に、運命の扉は眠っている。

説明

かなやんさん原作の傑作推理シナリオです。このシナリオはRSSの企画前から、自分が惚れ込んでリライトさせてもらったものをTNX版に手直ししたという経緯で公開シナリオになりました。

真犯人を「プレイヤーが推理する」ことにフォーカスしており、アクトルールで「真犯人の特定のための《真実》は真犯人の名前を添えて使用しなければならない」という規定を作っています。その分アクトの運用は複雑になり、説明のためにプレイレポートをつけた最初のシナリオでもあります。

実際に遊んだときのエピソードとして、「①フェイト=フェイト=フェイトの名探偵が《真実》を使い切るも真犯人を特定に到らなかったので、フェイトのプレイヤーが動機を含めた完全な推理を展開し、その内容が正解だったのでRLがその推理を《真実》の代用として認めた」、「②プレイヤーが膝をつめて1時間かけて推理を行い、見事真犯人を特定した」などがあります。皆さんの結末はいかがだったでしょうか。

■RSS6.「或る弾丸の終末」

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プレイデータ

  • プレイヤー:4人

  • プレイ時間:5時間 

アクトトレーラー

“魔弾”。意のままに命中するこの弾は、最後の一発だけは射手ではなく悪魔の望むものを貫くという。

“復讐の魔弾”ドン・クーゲル、それはストリートにおける恐怖の象徴。それは災厄の街を焦土に変える一発の弾丸。今、この男の憎悪は最後の弾丸となり、災厄の街へと放たれた。

 “復讐の魔弾”に復讐を誓う少女、イワサキから強奪された新兵器、そしてドン・クーゲルの過去を知る女。それぞれの思惑が絡み合う中、“復讐の魔弾”の首を死神と悪魔が狙う。

“魔弾”の射手は心しておかねばならない。“ 魔弾”の最後の一発は、必ず悪魔の望むものを貫くということを。

運命の扉の向こう、嗤う悪魔は誰だ。

説明

玄澤 暢さん原作の傑作ゲストシナリオです。自分にとっては、版上げの際にドン・クーゲルがどうなるのかは凄く関心があった事項で、結果として彼は「生き残った」わけですが、玄澤さんの作成したこのシナリオはクーゲルの話に決着をつけられる大変面白いもので、頼み込んで公開させて貰ったと言う経緯になります。

公式ゲストであるドン・クーゲルやレイが話の中心にいるシナリオですが、カブトワリやシナリオゲストであるダイアナがそれを超える活躍を見せられるように留意しました。ゲストシナリオの運用にフォーカスして、プレイレポートを掲載しておりますので、RLで遊ぶ方はそちらもご覧ください。

■RSS7.「New World」

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プレイデータ

  • プレイヤー:3人

  • プレイ時間:4時間 

アクトトレーラー

無限を意味する言葉――インフィニティ。

電脳の海から“必然”の帰結として生まれた真なるマキノイドは、

あらゆる暗号を解き、世界のパワーバランスを崩壊させうる存在となった。

日本を超える存在を許すことのできないN◎VA軍は、インフィニティを殺すための暗殺チームを組織する。

人類が新たな生命に差し出すのは、甘い林檎か、毒入り林檎か。

二進法の世界から、新世界の扉が開く。

説明

昔から(シャドウランを遊んでいた頃から)裏のある依頼人が好きでした。そういった依頼人は悪くて、謎めいていて、強大である方が魅力的に思えます。トーキョーNOVAでいうと閉鎖的な超大国「日本」やNOVA軍がそれにあたります。日本はこれらのポストヒューマンを特に警戒していて、九鬼水軍やフジタ・サイバーガード社といった魅力的な敵役の設定があります。

こういった強力な敵役を前にした、華麗なる逆転劇が作りたくてこのシナリオを書きました。特にメインゲストであるインフィニティの設定と『③ニューロ』のキーハンドアウトは強力な推進力を持っていて、遊ぶたびにPLをぐいぐい引っ張ってくれている実感があります。

少人数で遊ぶことを前提にしていて、非常にやりがいのある(悪く言えば難しい)シナリオですが、ぜひ楽しんでいただければと思います。

4.最後に

RSSは「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」の「表示、非営利」という形態で公開されています。これは、「原作者のクレジット(氏名、作品タイトルとURL)を表示し、かつ非営利目的であれば、作品を自由に複製・領布できる」というものです。

例えば、シナリオをプレイする前に内容を改編し、変更点を明確にした上で再公開すること、プレイ記録をリプレイとして公開することなどについては、非営利の活動を目的にしている限り、権利者の表示がされていれば問題なく行えるということです。

シナリオの書き直しやリプレイの作成などについて、制約される事項は、これ以外にありません。個人的には皆さんがシナリオを自分の火星に向けて最適化した形に直すことを推奨しています。今回の権利表示では、それは多くの場合可能であるはずですので、ぜひ、自分たちの卓に合わせてシナリオを修正する等をご検討ください。

また、今後、公開されるユーザーサイドのシナリオが増えることを心から願っています。インデザインでのレイアウトの相談、Webでの宣伝手段の検討等、同じような試みで発生する壁については、相談いただければそれなりの回答は返すことができると思います。

この試みがNOVAのユーザーサイドでの盛り上がりに繋がっていけば幸いです。

 

「RSS」につきまして、ひとまずは以上となります。

それでは、皆さんのアクトが良いものになりますように。