ネヴァーウィンター・キャンペーン 第17話「死鼠団の崩壊」
黒野さんDMのD&D 4th ネヴァーウィンター・キャンペーンの17話です。
ネヴァー城にて失われた「ネヴァーウィンターの王冠」を手に入れたアシュタール。ネヴァーウィンターの正統な王権を獲得し、地上へと帰還する。 今回はネヴァーウィンターの反政府組織アラゴンダー息子たちを取り込もうと暗躍する、死鼠団を撃退する話です。
パーティー
各キャラクターの詳細は割愛。
- アシュタール/指揮役(アーデント) PL:夏瀬さん
壮年の男性。ネヴァーウィンターの正統な後継者となった。 - プラチナ/制御役(ブレードダンサー) PL:はたはたさん
ピクシーの少女。テーマはハーパー・エージェント。 - ベアトリス・ウィンターホワイト/防衛役(ソードメイジ) PL:緋
エラドリンの女騎士。イリヤンブルーエンのフェイ。 - ギルターク・ヴァーリン/撃破役(ローグ) PL:妖くん
ドラウの傭兵団、テーマはブレガン・ドゥエイアゼ・スパイ。
オープニング:変貌した街
地上へと帰還した冒険者たちはブラックレイク地区の酒場、千の顔の家に向かった。千の顔の家にいるハーパーの指導者キムリル、ハーフエルフのトラムとセリスは無事だろうか。
ブラックレイク地区の路地を急ぐ冒険者は、街のただならぬ様子に気づいた。各家屋の扉は閉じられており、いくつかの家には血によってアスモデウスの紋章が描かれていた。ネヴァーウィンター地方の寒さの中で、通りには血のにおいが充満している。
路地では、守護卿の騎士と4体の悪魔が戦っている。騎士はすでに3人が倒されており、劣勢だ。
悪魔「お互いに戦い、生き延びた1人は助けてあげましょう。……ああ、活きのいい方が着ましたね。死んでください」
残された2人の騎士も悪魔によって殺されてしまう。
プラチナ「街の人はどうしたんだよ?」
悪魔「私たちの召還のための生贄となっていただきました」
アシュタール「ここはお前たちの遊び場ではない」
悪魔「知りませんか?私たちは正義の神ティールに呼ばれてきたのですよ」
悪魔から得られる情報はないと判断し、戦闘が始まる。
悪魔は4体おり、14~16レベルの強敵だ。防衛役のベアトリスが全体をマークし、その間に各個撃破するいつもの戦術だが、途中で悪魔召還のワープゲートが開いたことで、敵が増え難易度があがった。ベアトリスのHPが0を割り込み、デスレイまで追い込まれるが、その間にギルタークらの火力で戦いの趨勢は決まっており、ベアトリスの蘇生後に冒険者たちは勝利する。
悪魔は倒した。ただ、ネヴァーウィンターには住民を生贄として悪魔を召還している連中が跋扈している。守護卿の騎士だけでは対処が難しい。幸い、守護卿の騎士の一人はまだ息があった。彼の治療と、現状把握のためハーパーと接触するためにも、冒険者たちは千の顔の家へと向かった。
ミドルフェイズ1:千の顔の家
30年前に流行した擦り切れた衣装をまとったマネキンたちが立ち並ぶこの酒場は、ハーパーたちの根城だ。ハーパーの指導者キムリルに心酔するハーフエルフのトラムとその妹セリスはここの地下室をハーパーの指令基地として使っている。
いつもと変わらず、ハーフエルフのトラムとセリスが店番をしていた。二人ともハーパーだ。彼らは冒険者たちを地下室に案内する。
トラム「無事だったのか?」
ギルターク「こいつの治療を頼む。街はどうなっているんだ」
守護卿の騎士ジェイコブの治療をセリスが開始する。
トラム「アラゴンダーの息子たちが暴れている。死鼠団と合流したのか、まるで統制が取れていない。ドアに血の印をつけた民家が全員殺されてしまう事件が多発している。悪魔崇拝者たちによる悪魔召還の儀式だ」
トラム「お前たちが消えてから、俺たちハーパーと守護卿との緊張も高まっている。キムリルはヘルム砦にアシュタールを盟主とする血盟を組もうとしている」
アシュタール「安心しろ。この街は俺がまとめる」
トラム「ネヴァーウィンターの失われた王冠。それがあれば状況は変わるかもしれない」
セリス「私にはわからないの。キムリルが戻ってきて、アシュタールがこの街をまとめたら、本当に解決するのかな?」
そのとき、千の顔の家の扉が乱暴に開かれた。
ワーラット「ネヴァレンヴァーの血の匂いがするっちゅ」
アラゴンダーの息子たち……の格好をしたワーラット。おそらく死鼠団。
エリザベス「アーロンはどうした」
ワーラット「ボスはお前らに会いたくないってよ。それより、カルトル。ぶっ殺してやりな」
壁を破壊し、強力なクレイゴーレムが進入してくる。
千の顔の家の内部での乱戦となった。ワーラットたちは武器を振り回してくるが、汚れた刃先などには汚穢病を感染させる効果がある。なにより、クレイゴーレムは高い攻撃力とHPを持ち、殴られたものは一時的にHP回復できなくなる強敵だ。
ただ、ここはハーパーの本拠地であり敵の数も少なく冒険者たちが勝利する。病気のロールを行った結果、ベアトリスが汚穢病に感染し、セッション終了まで命中-1、回復力-1の効果を受けることとなった。
ミドルフェイズ:騎士ジェイコブの回想
騎士ジェイコブが回復した。そして、彼はネヴァーウィンターで何が起こったのかを語った。
ジェイコブ「アラゴンダーの息子たちに死鼠団や死人たちが合流した。そして、指導者のはずのアーロンが消え、彼らの統制が取れなくなった。それと同時に人々の家屋に血で描かれた悪魔の紋章を描く事件が多発した。その家屋の住民は全員殺されていて、中には悪魔たちがいた。そのデーモンが暴れまわっていた。そこで襲われたんだ」
ジェイコブ「アラゴンダーの息子たちの今の根城は流木亭だ。元はアラゴンダーの息子たちの中でも穏健派の灰マント派の根城だったが、死鼠団や死人が合流してからは荒くれ者に占拠されている。アーロンの居場所がわかるとしたら、そこにいる奴らだろう」
トラム「プラチナ。アーロンを殺せ。あいつをこのままにしたら、キムリルが戻ってきたときに俺たちが孤立する」
プラチナ「アーロンとボクたちはトモダチだ」
トラム「殺したほうがうまくいくのは確実だ!」
プラチナ「殺せばいいって言うのは簡単さ!」
アシュタール「それですべてが解決するわけではない」
ギルターク「いざというときは俺がやるさ」
冒険者たちは流木亭へと向かった。
クライマックス:死鼠団の崩壊
かつでの流木亭は骨董品、珍品、遺物を山と蓄えた酒場だった。いまは見る影もなく、汚れ、荒れ果てていた。テーブルでは荒くれものたちがギャンブルのイカサマを巡って殺し合いをしている。
店の中心には死鼠団の団長である“片目の”ルソルクがいる。ソードコーストの絶望の泥沼ラスカンの出身で、彼の言葉によるならば、その片目はラスカンのギャングの頭目テイトールと、仲違いの末の決闘で失われたのだという。しかし、死鼠団に死人が入り込んでいる現状をふまえると、それだけではない。死人は死霊術の国家サーイの専売特許であり、サーイと手を組んでいると予想される。死鼠団はアラゴンダーの息子たちを乗っ取り、ネヴァーウィンターに深く浸透している。
ルソルク「ボスは忙しい。ネヴァーウィンターをお守りくださるために、身を削って戦っているんだからな」
ギルターク「本当にそうか?嘘はつくなよ」
ルソルク「ここは酒場だ。飲みなよ」
濁った杯を差し出してくる。友好的な雰囲気ではなく、杯の中身も濁りきっている。これは明らかに罠だ。それも相手が乗らないと核心しているもの。
アシュタール「飲んだら話を聞くのか?」
ルソルク「聞くだけは聞いてやるよ」
アシュタールは毒の杯を飲んだ。頑健ロールが行われ、毒の効果は打ち消される。ネヴァーウィンターの真なる王冠は持ち主を守るのだ。
アシュタール「アーロンはどこだ?」
ルソルク「帰りな。ボスがアンタに会いたくなったら伝えてやるよ」
ギルターク「嘘だな。警告はしたぞ」
死鼠団の頭目ルソルク、死鼠団のあらくれものが多数、サーイから貸し出されたキュスが2体、そして隠し玉のクレイゴーレム“ポルックス”が出現する大規模な戦闘となった。
イニシアチブの最も早かったプラチナが近接攻撃主体のルソルク、死鼠団のあらくれものを移動を阻害する壁で阻み、彼らの帰還ルートである裏口をベアトリスが封鎖したことで敵の分断に成功した冒険者たちが徐々に有利な状況となるが、ここは死鼠団の本拠地であり毎ターン増援がやってくる。
ルソルクを追い詰める過程で、戦線を支えていたベアトリスがデスレイに追い込まれる状況までなったが、3時間の密度の高い戦闘の末に冒険者たちが勝利した。この戦闘でルソルクは死亡した。
エンディング:殺せばいいって言うのは簡単だ!
流木亭の貯蔵庫は血と汚物でまみれていた。鼠のライカンスロープ化した男が息も絶え絶えで、銀のくいに縫い付けられている。
プラチナ「アーロンなの?」
そのとき、プラチナの脳裏に自身の声が響いた。
「殺せばいいって言うのは簡単さ!」
次回へ続く!