グランクレスト・「七つの大罪」 キャンペーン本編 第一話「その怒りは誰のため(前編)」
夏瀬さんGMのグランクレスト・キャンペーンの本編の開始です。
宵闇の魔神キャンペーンでタランの街の領主となったラオグスト。彼の元にセブン・シン帝国皇帝の従属騎士であるライアスが訪問するところから物語は始まります。
戦闘超ハードだった。HP一桁、次回攻撃されたら全滅、相手は6が1個でも出ればクリティカルって状況はなかなかにハードでした。楽しかった!
■初期設定・パーティー
初期設定、各キャラクターの詳細は下記参照。
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“憤怒の騎士”ラオグスト・タウラージ ロード/キャバリアー PL:粥さん
壮年の男性。タランの街を宵闇の魔神から救った領主。母国に妻子を残している。
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バシリオ・シスラエール アーティスト/ドラゴン PL:しのさん
シスラエール最後の竜。ラオグストに命を救われ、彼の戦士となることを誓う。 -
エリザベス・バートリー メイジ/サイキック PL:緋
バートリー商会の武器商人。ラオグストをセブン・シン帝国への反乱へと誘う。 -
艦長 投影体/オルガノン PL:黒野
混沌を駆逐するために建造された超時空戦艦のAI。エリザベスとの契約に基づきラオグストを支援する。
オープニング1:嵐の前
ラオグストにとってタランの街はセブン・シン帝国の帝都での政争の敗北により、左遷されて赴任した街に過ぎない。しかし、宵闇の魔神を討伐したラオグストはタランの街に暖かく迎え入れられた。妻子を迎えにやろうかと思うほどの安寧であった。
領主の館では老文官のグレイス、宮廷魔術師のターシャ、財務を取り仕切るエリザベスが議論を重ねている。魔神復活の影響により、この地の混沌濃度は高まっている。加えて隣国との境界地であるタランの街は、軍事と経済に繊細なバランス感覚が求められる。つかの間の平和。しかし、それを保つことが責務であるとターシャは語る。
その安寧を引き裂くように領主の館の門が開く。
「これは公務である」
帝都からやってきた男、皇帝直属の従属騎士ライアスはそう言い放ち、都市タランのあらゆるものを奪うことを宣言した。
オープニング2:狐の騎士
強欲伯爵(グリード・カウント)と呼ばれる狐の紋章をつけた騎士、アイオン伯爵はタランの街を眼下に望む崖の上で、皇帝直属の騎士ライアスに告げる。
「忠告だ。タランの街の領主を刺激するな。ラオグストを怒らせるな」
「これは公務です。陛下が望むなら、それに応えるのは臣下の役割」
「皇帝が熱狂しているという[鉱物]。無駄に消費されるだけのもので、民を苦しめることをラオグストは許しはすまい。……忠告はしたぞ」
狐の印章を持つ騎士は領主の館を睨み付けるとその場を去った。
そして、長大な弓を持った男性、邪紋使いギルダ登場しライアスに告げる。
「俺たちで火を起こす。轟々と燃える戦火のな。いこうぜ、兄弟」
ライアスは薄く笑うとタランの街に向かった。ラオグストという領主、傑物らしいが、皇帝の威光にはかなうまい。
ミドル1:ライアスの狙い
ライアスの歓待は上手くいったとは言いがたい。ラオグストの用意させた食事に不快感を露にしたライアスは、[鉱物:10]を陛下に献上することを下命した。
鉱物:10、男爵領を二つ買えるほどの莫大な(10000カウントに相当する)資材の供与。この資材は皇帝の口添え動くライアスを出世させるためだけに消費されるのだろう。だが、陛下の威光に安易に逆らうことはできない。
ベアトリスがライアスに問うた。
「鉱物10、それを貴殿に渡せばよいのだな?その入手の方法は問わぬと」
ライアスは応じた。
「公務である。励むがよい」
ミドル2:対策会議
調べた限り、鉱物を手に入れる方法は3つある。
1つ目はタランの街に導入しているアカデミーサポートを資源購入の契約に切り替えて鉱物を入手する方法。この方法ではタランの街が衰退する(カウントが減少する)。
2つ目は隣国から奪うこと。隣国レガルトは軍拡のために鉱物を集めている。戦争を行い勝利することができるならば、ある程度の鉱物は奪えるだろう。
3つ目は魔境から発掘すること。隣国レガルトとの境界地にある魔境には、未知の鉱物が眠っていることが確認されている。ただし、レガルトも軍を派遣しており、現地での戦闘となる可能性が高い。
いずれの方法にしても、先立つものがなければライアスの要求に応えることはできない。どれを選択するにせよ、考えなければならない問題はあるとベアトリスは言う。
「ライアスの要求はいつまで続くのか分からない。ラオグスト、君たちの責任はあくまで鉱物をライアスに渡すまでのものだ。彼が鉱物の搬送中に“いなくなった”としても、問題になることはあるまいよ」
ラオグストは考え、告げる。
「不正は行わない。正規の方法でライアスを告発する。彼の周りには後ろ暗い噂が絶えない。彼の不正を見つけ出し、糾弾することができれば、彼を失脚させることができる」
「王道だけが戦火を避ける手段ではないよ、ラオグスト。その怒りは誰のためだ?」
会議で結論が出る前に来客があった。隣国レガルトの大将軍マローが非公式な会談のために来訪したのだ。
ミドル3:隣国レガルトの事情
隣国レガルトの大将軍マローは熟達した弓の技術を持ち、高名な冒険者でもある。元々レガルトは大河を軸にした交易で栄えた都市国家だ。しかし、セブン・シン帝国との続く戦乱により、主戦派と反戦派の足並みが乱れて、国をまとめることができなかった。国力の疲弊により、軍事力の礎となる鉱物を求めてマローが派遣されることに決まったのが先日。しかし、鉱物の入手のために境界地の魔境に軍事的進行を行うことになるため、対向するタランの街の領主と話をつけに来たのだ。
ラオグストは彼の話を聞いた上で告げた。
「我らも鉱物を入手する必要がある。鉱物10までを譲ってもらえるのであれば、魔境探索を協力することもできるが、貴国がそれを認めることはあるまい」
マローは応えた。
「ならば、魔境でお相手しよう。失礼する」
エリザベスがラオグストに尋ねた。
「なぜ今ここで彼を討たないの?マローがいなければ、レガルトは戦争を行えない。戦渦を避けるためにはそれが最善だよ」
「それは正義ではない」
「君らしい答えだ。バートリー商会は君の怒りに投資したい。軍の編成は任せてくれ。ただ、マロー将軍の射撃戦砲陣には気をつけたまえ。砲撃戦で彼に打ち勝つのは、私と艦長でも難しい」
ミドル4:妻子の命
出立の前、深夜にライアスがラオグストを呼び出した。
「帝都にいる貴方の妻子から手紙を預かっている。“くれぐれも注意して”公務に励んでほしい」
これは脅迫だ。ライアスの要請に応えなければ、妻子の命はないということ。
「私の友をつけよう。邪紋使いギルダは有能な戦士だ」
「よろしくな!」
粗野な弓兵を見張りに付けられ、ラオグストは魔境へと出立する。
クライマックス1:レガルト王国軍
隣国レガルトとの中立地帯に魔境は存在していた。魔境の入り口となるゲートの前に布陣するレガルト軍。射撃戦を主体とした部隊。マロー将軍と白兵戦を行い続けない限り、部隊は射撃攻撃に対する鉄壁の防御と攻撃力を保持する。
複雑な地形の中だが、竜となったバシリオ・シスラエールのブレスがマロー将軍の鉄壁の部隊を切り裂いた。マロー将軍は素早く部隊をまとめなおすとレガルトへと撤退した。魔境のゲートをくぐり、ラオグストは進軍した。
クライマックス2:混沌核前の攻防
混沌核の中心には2体のドラゴンとスキュラがいた。因果の歪みにより位置や攻撃を逸らされる中、ラオグストたちは天運を使いきりながら混沌核を撃破する。
しかし、そこまではラオグストの支援に徹していたライアスの悪友ギルダは、ラオグストたちの部隊にラオグストへの裏切りを命ずる。彼はラオグストと同様に、ラオグストの部隊の兵士たちの家族をも人質にとっていたのだ。
ラオグストたちの部隊の士気は0に減少し、部隊の人間は新たに敵部隊として出現した。士気崩壊状態で天運を使い果たした上での戦闘。ギルダは18レベルのシューターで強力な部隊を指揮している。ラオグストは裏切った部下への攻撃を禁じ、士気を全く回復できない状態での戦闘となった。
「敵を無視するなんて、とんだ甘ちゃんだ」
この戦闘でラオグストたちのHPは一ケタ台まで追い詰められるが、部下を一度も攻撃せず、ギルダの攻撃からも守りきったことでイベントが発生、辛くも士気を回復してギルダに勝利することができた。
エンディング:戦火の先駆け
「何の利得があり、このような事を行ったのか?」
ギルダは死を前にしてライアスの目的を語り始める。
「俺たちは欲望に従っただけだ。この国はもうダメだ。中央は腐って頭のイカレタ王族の頭には国の様子なんて見えてない。この現実に気づいたとき、邪紋が囁いたのさ。戦争を作れ、血で血で洗う戦争を作れってな」
「俺を止めたってライアスは止まらない。他人は全て利用する、俺とライアスはそういう関係だった。俺の死だって利用するはずだ」
「戦争を止めるって顔してるな?正義感でそんなことできるはずないさ。アンタがどうなるのか、俺は地獄から見届けてやる」
ギルダは息絶えた。
ベアトリスがラオグストに問いかける。
「彼らは生半可な覚悟では止められないだろう。戦争を起こしてでも、止める覚悟がなければね」
「ライアスにしかるべき報いを受けさせる。そのための証言を私の兵たちは行ってくれるだろう。それに君たちもいる」
「いいだろう。君が戦争を止められるだけの武力を私たちが提供しよう。バートリー商会の名に懸けて」
ライアスの謀略の影がどこまで及んでいるのかは分からない。
ただ、ここで止めなければ七国を巻き込んだ戦争が起きることは確信できる。
ラオグストはライアスを止める覚悟を定め、馬首を巡らせた。
次回予告「その怒りは誰のため(後編)」