緋ニッキ

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グランクレスト・「七つの大罪」 キャンペーン本編 第10話「総力戦」

夏瀬さんGMのグランクレスト・キャンペーン第9話です。

帝国軍の指揮官が老将ガルブレイスへと変わり、ラオグスト領を殲滅せんと3軍を派遣します。ひとつはガルブレイスの本軍、残る2つは七大公アイオン、ベルム。いまだかつてない強敵との戦いとなりました。

グランクレスト戦記 第10話「総力戦」

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■登場人物

各キャラクターの詳細は下記参照。かなり多くなりました。

【PCたち】 

  • “憤怒の騎士”ラオグスト・タウラージ ロード/キャバリアー PL:粥さん
    壮年の男性。悪逆なるセヴン・シン帝国から独立を宣言し、七大公国のうち3つを領有するに至った。フィギュアは左端。
  • バシリオ・シエラスール アーティスト/ドラゴン PL:しのさん
    シエラスール王家の末裔。ラオグストに命を救われ、彼の戦士となることを誓う。ラオグストの妻子の安寧を願っている。フィギュアは右端。
  • エリザベス・バートリー メイジ/サイキック PL:緋
    バートリー商会の武器商人。ラオグストをセブン・シン帝国への反乱へと誘う。フィギュアは右中。
  • 艦長 投影体/オルガノン PL:黒野さん
    混沌を駆逐するために建造された超時空戦艦のAI。エリザベスとの契約に基づきラオグストを支援する。今回は都合によりお休み。フィギュアは左中。

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【タラン連合国

  • シセル:ラオグストの妻
  • フィリオ:ラオグストの長子
  • フィネガン:タランの宰相
  • マロー将軍:隣国レガルトの将軍。弓と指揮の名手でラオグストを認めている。
  • サイガ:イヴィルゲイザー討伐にて散った老将イスマの聖印を告いだ若い将軍。グラッチ・イジェメックの腹心であったが、イジェメック領をまとめなおし、ラオグストの配下となった。

【帝国軍・その他】

  • 皇帝シン:セヴン・シン帝国の皇帝。暗君であると同時に帝国における最大武力。
  • ドミナス・ブランギース:帝国宰相。
  • プレッシン:ドミナスの腹心。
  • ガルブレイス:ラオグストの後見人。かつて七君主“憤怒”の席についていた老将軍。前皇帝の“剣”とまで言われた人物。本エピソードで帝国軍の総大将となった。
  • “強欲伯爵(グリード・カウント)”アイオン:七君主。伝統や誇りを重んじる国を治める、穏やかな美丈夫。 双剣の使い手で智謀にも長けている。
  • “傭兵王(プライド・カウント)”ベルム:七君主。またの名を傭兵王ベルム。帝国全土で最強と噂されている豪傑。
  • アグニ:悪鬼隊の隊長。ラザールの密命を受けタランに潜入したが、バシリオに捕縛された。
  • 王弟デリット:文武両道の偉丈夫。 病で成人まで生きられぬと言われた兄に代わり皇帝になるはずであったが、皇帝の完治により王弟にとどまる。
  • “暴食伯爵”ヴィッカーズ:熊のような巨漢。ブラウン・バートリーから新兵器を購入した。
  • ブラウン・バートリー:バートリー商会会長にして、エリザベスの父。ヴィッカーズにイヴィルゲイザーを用意に屠れる新兵器を提供した。

【旧シエラスール王家関連】 

  • シルヴェリオ王:シエラスールの王。若き日に武功を立てイルダを娶り、王となる。 もとは王家に代々仕えた騎士でイルダ妃の幼馴染。クラスはパラディン
  • イルダ妃:シルヴェリオ王の妻。シエラスール直系の血を引く。 王家の血を引く女性は例外なく美貌に恵まれ、そのためシエラスールの至宝と呼ばれる。
  • シエラスール五兄弟長兄イレネオ:長剣の使い手。誠実で武勇に優れている。5兄弟の中でバシリオに最も君主の才があると見込んでおり、彼の成長を願っている。
  • 次兄レリオ:気のいい斧使い。
  • 三男リベリオ:色男。華麗なレイピア使い。
  • 長女エルマ:生真面目で武勇にも政治に優れる。特に棒術が得意である。
  • バシリオ:現在ラオグストに仕えている。 

オープニング1:老将軍の帰還

帝国軍の軍議の中心には宰相ドミナス・ブランギースの姿が常にあった。しかし、今これよりは異なる。帝国軍の重鎮が固唾を呑んで見守るなか、老将軍ガルブレイスは宣言した。

「私が帝国軍の指揮を執る。これは陛下の意志である。邪魔立てするものは陛下の意志に反したものとして、わが剣にて斬り捨てる」

かつて最強の名をほしいままにしたガルブレイスの帰還。これは帝国軍がラオグスト領を脅威と認め、滅ぼすことを決めた瞬間であった。

オープニング2:ジェイ

エリザベス・バートリーは私室にて大陸航路の地図を眺めていた。大商人ローレンス・アップルゲートと約定したサンドルミアへの大陸航路。これは海運に強みを持つ七大公“暴食の”ヴィッカーズとの商売上の重要な武器となる。

彼女が大陸航路の拡張についての人員案を考えていたとき、ジェイが老境に差し掛かった男性を伴い入室してきた。ブラウン・バートリー。エリザベスの実父にして、“暴食の”ヴィッカーズと組み帝国内で広大な商圏を持つバートリー商会の会長。

エリザベス「これはこれは父上。こんな辺境にまでいらっしゃるとは」

ブラウン「タランは急速に発展しておる。そこに興味のない商人はおるまいて。ただ、商売はいたずらに拡張するものでもないな。わが商会にとって帝国の方が上客だ。タランはここまででいい」

エリザベス「父上らしからぬことを。私はタランを中心とした大陸航路で帝国内の商会をも取り込み向こう100年分はものを売るつもりで仕事をしておりましたが。弱きものが喰われる。それこそが我が血族のルールでしょう」

ブラウン「警告はしたぞ。ジェイ、お前はどうする?」

ブラウンから派遣されたエリザベスの副官ジェイにブラウンは問う。

ジェイ「すみません。孤児だった俺を雇ってくれた恩はありますが、今はこちらの方が居心地がいいんで」

エリザベス「ジェイもどちらが自分の価値を高めるか知っているのでしょう」

ブラウン「よかろう。その意気はいい。ならば、血族のルールにそって処理するのみだ。どちらが勝ってもバートリー商会は反映するというものだ」

バートリー商会のルールは血族内でもっとも優秀なものが会長となるというもの。エリザベスの宣言を受け、ブラウン・バートリーは退場した。

オープニング3:庭園

バシリオはフィリオに庭士として相談を受けていた。開花時期の異なる様々な種類の百合を庭園に咲き誇らせたい。開花時期を早めたり、遅くしたりの調整を繰り返すことでフィリオが描く父上に見せたい庭園ができるかもしれないということ。

バシリオは合流した四兄弟とともにフィリオの庭園を手伝っていく。この庭園が完成する前に戦争は終わるだろうか。

オープニング4:サンドルミアの医師

ターシャがサンドルミア人の青年を伴い、ラオグストに面会している。ターシャはタランのメイジにして数少ない医師であるが、この青年は彼女の代わりとなる医学の知識を持つという。青年の名前はカイ。かつて、バレルアの瞳キャンペーンで医師を目指したカイ少年の未来の姿である。

彼はサンドルミアに帰郷するための船に乗っていたが、タランの近隣で座礁し、しばらくの路銀を稼ぎたいとのこと。ラオグストは快く快諾した。サンドルミアへの大陸航路ができるまで、カイの手腕はこの地の多くの人を救うだろう。

オープニング5:軍靴の音

その日、タランの空は青く透き通っていた。例年より遅い夏の到来。 暦上では真夏だが、実際には初夏であった。

商いの声、通りを行き来する人の喧騒、工房や建設現場からから響く打音。 人々の営みがまばゆい国であった。 そんな場所にも多かれ少なかれ不満はある。人は業が深い生き物なのだ。

帝国や他の国では力や金で不満をうやむやにしてきた。だがこの国には不満すら力の流れとして利用する基盤があった。 それがいかに難しいことか、と人々は言う。 この国の主は「本来、当然のことなのだ」と真顔で答えるだろう。タラン領主ラオグスト・タウラージは激務の真っ只中である。

そのもとに密偵からの一報が届く。

帝国軍の挙兵の報。続いてベルム領主、アイオン領主それぞれの挙兵。
三軍の目標は、ラオグスト領。 総司令の名はガルブレイス

グラジオラスが咲き誇る道に、軍靴の音が響く。

グランクレスト戦記キャンペーン第10話
「総力戦」

ミドル:防衛作戦の決定

軍師フィネガンがラオグスト領の地図を前にして、主だったものに説明をはじめる。

七君主アイオンが旧グラッチ領、七君主ベルムが旧ドライゼ領、帝国本軍は旧デリーズル領に向かっている。帝国本軍の中にガルブレイスの姿は見えない。

ラオグストたちはPCたちを含む7人の将軍の配置を決めた。アイオンはエリザベスが、ベルムはラオグストとバシリオが、帝国本軍はアベルやデリーズルといった若い将軍たちが防衛することとなった。

クライマックス1:総力戦

ラオグストとバシリオはベルム将軍。エリザベスはエリザベスはアイオン将軍と向かいあう。帝国本軍はアベルたちに任せているため戦況は把握できない。

(1)ラオグスト、バシリオパート

ベルム将軍の部隊は少人数の邪紋兵で構成されている。ベルム将軍の突破力でラオグストが守るドライゼ城に攻め入るが、バシリオが防衛しつつ、ラオグストが敵を撃破するという戦術で5ラウンドほどでベルム将軍は撤退した。撤退に際してベルム将軍はラオグストに次回で最後の決着をつけると宣言した。

(2) エリザベスパート

グラッチ城に立てこもり、射撃攻撃と攻城兵器で前線に出たものを攻撃するエリザベスに対して、アイオン将軍は騎士を前衛に立てて相互にカバーリングすることで突破を図る。しかし、グラッチ城に接触する前にアイオン将軍以外のすべての兵卒は討ち取られ、アイオン将軍はエリザベスのアローカウンターを突破できないうちに削られる。

エリザベスは人払いをしてアイオン将軍の陣営に向かい、交渉を行った。翌日、アイオン将軍は撤退し、エリザベスも追撃を行わなかった。

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クライマックス2:虚にして実、実にして虚

総力戦はラオグスト陣営の勝利に終わった。しかし、それ自体がガルブレイスの策略の上であった。グラッチ領、デリーズル領、ドライゼ領の防衛に向かったタランの街には防衛軍はなく、ガルブレイスの率いた特攻部隊によってタランの街は蹂躙されようとしていた。

ただ一人、馬を駆ってこの場にたどり着いたラオグストがガルブレイス軍を相手に奮闘する。(キャバリエのシナリオ上与えられたスキルを使用している。マップ中央の赤い部分がタランの街)

ラオグストはガルブレイスに一撃を入れるが、ガルブレイスの軍は屈強でかつ騎馬攻撃に対策を取っている。皆の天運を集めて敵の攻撃を耐えたラオグストがガルブレイスに二撃目を入れると、ガルブレイスは様子見は終わったとばかりに撤退をした。

ガルブレイス「見事だラオグスト。土産に天剣の秘密をひとつ教えてやる」

皇帝の剣は所持するカウントにあわせて威力を変える力を持っている。現在の皇帝直轄領の大きさを鑑みれば皇帝の剣に耐えられるものはいない。ただし、国土を削ることができるならば話は別。そもそも、ガルブレイスを討ち取らなければ皇帝陛下の前に立つことすら不可能な話であるが。

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エンディング1:強欲伯爵との約定

強欲伯爵、七大公アイオンの軍幕でエリザベスはアイオンと交渉をした。エリザベスの要請はアイオンがラオグストが皇帝を討つ際に妨害をしないこと。それだけだ。

アイオンは頷いた。王弟デリット公爵とつながりを持つ強欲伯爵アイオンは、皇帝の思うがままに動かされる今の世を好んでいない。ラオグストを炊きつけようとラザール・ミルバートンを動かし、帝都にて妻子の命を狙わせたのもこの男の仕業である。

だからこそ、この約定にアイオンは乗らざるを得ない。憤怒の大公ラオグストの怒りの矛先が自身に向くことなど望んではいないのだ。

翌日、アイオンは撤退した。

エンディング2:勝利

帝国本軍と戦ったアベルたちは、ダイスロールの結果勝利となった。3正面での激突はラオグストたちの勝利に終わり、タランの街は守られた。

しかし、敵であるラオグストに助言をするガルブレイスの気まぐれな撤退によって得られた薄氷の上での勝利である。皇帝の力である天帝の剣がある以上、皇帝が出てくる前に帝国領を縮小させねば勝機はない。ラオグストは防衛のみではなく、帝国に攻め入ることを決意し、その決意をタランの領民に伝えた。

タランの領民は命をかけて街を守った領主を歓呼の声で迎える。

この日、ラオグスト領は帝国への宣戦布告を決めた。

次回へ続く!