緋ニッキ

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グランクレスト・「七つの大罪」 キャンペーン本編 第9話「その炎、誰がために」

夏瀬さんGMのグランクレスト・キャンペーン第9話です。

アトラタン大陸全域に発生していたイヴィルゲイザーの討伐戦に勝利したラオグストたち。帝国との戦いが迫る中、タランの街の中核となっていたバシリオの故郷シエラスールに関する一話でした。

グランクレスト戦記 第9話「その炎、誰がために」

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■登場人物

各キャラクターの詳細は下記参照。かなり多くなりました。

【PCたち】 

  • “憤怒の騎士”ラオグスト・タウラージ ロード/キャバリアー PL:粥さん
    壮年の男性。悪逆なるセヴン・シン帝国から独立を宣言し、七大公国のうち3つを領有するに至った。
  • バシリオ・シエラスール アーティスト/ドラゴン PL:しのさん
    シエラスール王家の末裔。ラオグストに命を救われ、彼の戦士となることを誓う。ラオグストの妻子の安寧を願っている。
  • エリザベス・バートリー メイジ/サイキック PL:緋
    バートリー商会の武器商人。ラオグストをセブン・シン帝国への反乱へと誘う。
  • 艦長 投影体/オルガノン PL:黒野さん
    混沌を駆逐するために建造された超時空戦艦のAI。エリザベスとの契約に基づきラオグストを支援する。今回は都合によりお休み。

【タラン連合国

  • シセル:ラオグストの妻
  • フィリオ:ラオグストの長子
  • フィネガン:タランの宰相
  • マロー将軍:隣国レガルトの将軍。弓と指揮の名手でラオグストを認めている。
  • サイガ:イヴィルゲイザー討伐にて散った老将イスマの聖印を告いだ若い将軍。グラッチ・イジェメックの腹心であったが、イジェメック領をまとめなおし、ラオグストの配下となった。

【帝国軍・その他】

  • 皇帝シン:セヴン・シン帝国の皇帝。暗君であると同時に帝国における最大武力。
  • ドミナス・ブランギース:帝国宰相。
  • プレッシン:ドミナスの腹心。
  • ラザール・ミルバートン:帝国最大の犯罪結社の首領。シエラスールの竜の力を得て現在の地位まで上り詰めた。ドミナスの命を受けてラオグストの命を狙っている。
  • アグニ:悪鬼隊の隊長。ラザールの密命を受けタランに潜入したが、バシリオに捕縛された。
  • 王弟デリット:文武両道の偉丈夫。 病で成人まで生きられぬと言われた兄に代わり皇帝になるはずであったが、皇帝の完治により王弟にとどまる。
  • ガルブレイス:ラオグストの後見人。かつて七君主“憤怒”の席についていた老将軍。前皇帝の“剣”とまで言われた人物だが、 現皇帝の癇癪に触れて10年ほど前から蟄居処分を受けている。
  • “強欲伯爵(グリード・カウント)”アイオン:七君主。伝統や誇りを重んじる国を治める、穏やかな美丈夫。 双剣の使い手で智謀にも長けている。
  • “傭兵王(プライド・カウント)”ベルム:七君主。またの名を傭兵王ベルム。帝国全土で最強と噂されている豪傑。
  • “暴食伯爵”ヴィッカーズ:熊のような巨漢。ブラウン・バートリーから新兵器を購入した。
  • ブラウン・バートリー:バートリー商会会長にして、エリザベスの父。ヴィッカーズにイヴィルゲイザーを用意に屠れる新兵器を提供した。
  • “蛇の”ドライゼ:七君主。故人。忠義に生き、ラオグストに討ち取られた。

【旧シエラスール王家関連】 

  • シルヴェリオ王:シエラスールの王。若き日に武功を立てイルダを娶り、王となる。 もとは王家に代々仕えた騎士でイルダ妃の幼馴染。クラスはパラディン
  • イルダ妃:シルヴェリオ王の妻。シエラスール直系の血を引く。 王家の血を引く女性は例外なく美貌に恵まれ、そのためシエラスールの至宝と呼ばれる。
  • シエラスール五兄弟長兄イレネオ:長剣の使い手。誠実で武勇に優れている。5兄弟の中でバシリオに最も君主の才があると見込んでおり、彼の成長を願っている。
  • 次兄レリオ:気のいい斧使い。
  • 三男リベリオ:色男。華麗なレイピア使い。
  • 長女エルマ:生真面目で武勇にも政治に優れる。特に棒術が得意である。
  • バシリオ:現在ラオグストに仕えている。
  • ヘカート:かつてイルダ妃の持つ竜の力を奪うために帝国軍に組してシエラスールを滅ぼした。現時点の時系列では、レッドウインド救出作戦で死亡している。

 

オープニング1:シエラスール戦役の噂話

シエラスール戦役かい?ああ、そのとき俺は参加してたよ。後詰めの工兵だったがね。

最後の籠城戦は、地獄ってやつがあるとするなら、まさにそれだった。 門を破り、城下になだれ込んだ帝国兵は抵抗無抵抗にかかわらず、女子供まで皆殺し。 王宮から上がった炎は瞬く間に市街へと広がり、 美しかったシエラスールは一晩でアトラタン大陸から消え去った。いまだに夢に見る。天を焼くような炎と瓦礫の山と肉の焦げたにおい。 生存者なんて望めない破壊の嵐だった。

うちには家訓がいろいろあってね、それを守ることで今まで生きてこられたと言っていい。 そこに俺の代でも一つ、付け加えたよ。

「ラオグストには逆らわらない」ってね。
―――雑多な酒場でシエラスール戦役について語る男より

グランクレスト戦記キャンペーン第10話
「その炎、誰がために」

■シエラスール戦役に関する風聞
帝国の属国を拒んだシエラスール国と帝国の間で一年以上行われた戦争。
地の理を生かしたゲリラ戦に業を煮やした帝国は七君主“憤怒”ラオグスト・タウラージを派遣。 その後僅か一か月で相手を本拠地まで後退させた。ラオグストは最後まで徹底抗戦を構えをシエラスール軍を最後の一兵まで打ち取り、見せしめのため市民も皆殺しにしたと伝えられる。

以後、帝国に逆らえば憤怒の炎に焼かれるのだと人々は噂し恐れた。

オープニング2:サイガの従属

イジェメック領でのイヴィルゲイザー討伐において、老将軍イスマは命を賭してイヴィルゲイザーの混沌核を破壊した。グラッチ・イジェメックの加護か、イスマの手には少くない聖印が顕現しており、それはサイガに引き継がれた。

サイガはグラッチ・イジェメックを信じる長老たちをまとめ、彼らの信任を得てタランを訪問した。ラオグストに恭順の意を示し、イジェメック領を守るためだ。

サイガ「イズマが生み出した聖印です。お納めください」

ラオグスト「受け取ろう。そして、お前に預ける。これからもイジェメック領のために尽力してほしい。貴殿は自らの足でイジェメック領を進めることができると示した」

サイガは敬意の中に殺気を込めてラオグストに言う。

「俺が従うのは今のアンタだ。変わっちまったらいつでも斬る。不服なら今首を撥ねるがいい」

ラオグストの隣にいたアベルが激昂するが、特段間違ったことではない。ラオグストはサイガに任せるよ、と言った。

オープニング3:フィリオとバシリオ

きっかけはラオグストの息子フィリオの庭いじりだった。両親に手ずから作った花を贈りたい。フィリオはそのやり方をバシリオに聞いた。

バシリオの胸中に懐かしい思い出がよみがえる。故郷シエラスールの王族であったバシリオも、同じように父に庭のいじり方を聞いた。武勇に優れたシエラスール五兄弟の中で、バシリオだけが穏当な庭弄りを趣味としていた。

バシリオ「庭弄りは得意だったんだよ。教えようか。うまくいくかは天候しだいだけど」

フィリオ「そういうのがいいんだ」

バシリオ「馬、剣、庭弄り。フィリオは何になりたいの?」

フィリオ「色々さ。今はこの花を育てたい」

バシリオ「そうか。身に着けたものはいつか役立つときが来るよ」

オープニング4:ラオグストの回想:シエラスール攻略戦

ラオグストはシエラスール攻略における決断を思い出す。

大いなる悪事と小さな悪事。どちらか一つをなさなければならないとき、選ぶならば大きな悪事を選ぶほうが大抵は奏功する。終わりの見えないシエラスールとの戦争において、何を選ぶことが最善かはわかっていた。あとは覚悟を決めることのみだった。

オープニング5:エリザベスの回想:シルヴェリオ王の死

致命傷を受けたシルヴェリオ王の傍に今よりも幼いエリザベスがいる。シルヴェリオ王はシエラスールを守るため、エリザベスに息子に聖印を渡してくれと懇願する。

エリザベスは5人で分けるには少なすぎるから、最も聖印を受け継ぐに相応しい一人を選べと答えた。シルヴェリオ王はバシリオの名を告げ意識を失う。

エリザベスは脇にいた邪術師ヘカートに問うた。

エリザベス「邪魔はするまいね?」

ヘカート「興味はない」

ミドル1:ラザールの使い

タランの牢獄に囚われている不審者アグニは、バシリオが来なければ事情は話せないと語る。そのため、バシリオが面会に来ることとなった。

アグニ「バシリオ。俺はラザール・ミルバートン頭目の使いだ。行かないと残されたシエラスールの家族が死ぬぞ。ラザールさんはシエラスールの伝説を独り占めにしたいのさ。その為にお前は邪魔だ」

バシリオ「シエラスールは滅んだよ」

アグニ「そうかもな。だが、助けにはいくんだろ?行かないわけないよな。お前の母親が生きているのだから。シエラスールの至宝、絶世の美女イルダ妃だよ!」

バシリオ「母さんが?どこに行けばいい?」

アグニ「ラザールさんが場所を指定している。そこは忘れられた都市の忘れられた場所だ。俺も中身は知らないが、罠は確実にある。タランを空にするようなことがあれば、帝国軍がタランを攻めてチェックメイトだ。一人で行け。そうでなければ間に合わない」

バシリオはラオグストに事情を話すことを決めた。

ミドル2:バシリオの望み

ラオグストは会議場に主だった者を集めた。迅速に意志決定を行う必要がある。

バシリオ「イルダ母さんがいる保証はない。でも、行かないわけにはいきません」

ラオグスト「これ以上、隠し立てはできないな。かつて帝国とシエラスールとの戦争を終わらせたのは私だ」

バシリオ「知ってはいます。あの戦争を終わらせるためには手順として必要だった……」

ラオグスト「随分物分りのよい子になったな。シエラスールの王城に立て篭もったものたちを皆殺しにして戦争は終わった。その褒章として貰い受けた王族の末裔がバシリオ、お前だ。帝国の監視の下で育てるとの約束でな。帝国と決別した今となってはその約束も意味はあるまい。バシリオ、おまえ自身の望みはなんだ」

バシリオ「ラオグスト様を仇敵などと思うことはありません。それに、ボクが望みをラオグスト様に訴えたとして、それを叶えてくれるものではないでしょう。ラオグスト様はタランの王です。滅びた国のものの頼みなど、聞く必要はありません」

ラオグスト「シエラスールのバシリオ。私はお前を家族と思っている。家族を助けるために力を使うことは、悪いことではないよ」

エリザベス「バシリオ。君に伝えるべきことを伝えよう。イルダ妃がラザール・ミルバートンに捕らえられていることは事実だ。シエラスール戦役の最終日、私は帝国に雇われてヘカートというメイジとラザールという兵隊崩れとともに城内にいた。シエラスールの竜の血を最も強く受け継ぐ、イルダ妃から竜の力を奪い取るためだ。ヘカートの禁呪は効果を発揮し、ラザールは竜の力を手に入れた。そして、イルダ妃を戦利品として持ち帰った。シエラスールのバシリオ。お前はお前の判断で進むべき道を決めるべきだ

バシリオ「ならボクはラザールのもとに向かいます。一人ででも」

バシリオが一人で行くのだとしても、彼の軍は勝手についていくだろう。それをラオグストは見過ごせない。必然、タランを攻める帝国軍はエリザベスが一人で相手をすることになる。

エリザベスはほくそ笑む。指し手は帝国宰相ドミナス・ブランギース。隠密裏にことを運ぶならば動く部隊は帝国最強の煉獄に決まっている。ならば、勝利は確定だ。表立って動けない隠密部隊の煉獄に、完全装備の戦略級ウィザードを打ち破る手段などないのだから。

ミドル3:老将ガルブレイズ

バシリオから事情を聞いたラオグストは、シエラスール戦役においてかつての師匠に相談したことを思い出した。老将ガルブレイズ。ラオグストの後見人。かつて七君主“憤怒”の席に在り、前皇帝の“剣”とまで言われた帝国最強の人物。現皇帝の癇癪に触れて10年ほど前から蟄居処分を受けている。 

ラオグスト「シエラスールに出兵することになりました」

ガルブレイズ「手合わせするか」

ガルブレイズの道場での竹光を用いた体稽古。ガルブレイズの速さは現役同等、技術は現役を上回る境地に至っている。一方で体力は衰えを隠せない。打ち合うこと数分、ガルブレイズが音を上げた。

ガルブレイズ「稽古じゃ勝てねえな」

ラオグスト「戦場であれば結果は異なるでしょう」

ガルブレイズ「悩みは何だ」

ラオグスト「一つの国を地図から消さなければならりません」

ガルブレイズ「無理だ。地図から消したって、その国の何もかもを消すことなどできない」

ラオグスト「彼らは最後の一平卒まで戦うでしょう」

ガルブレイズ「覚悟を決めた面だな。なら、振り返らず進め。大きな悪事を為すことを恐れるな。悪事を繰り返すことだけを避けろ」

ミドル4:シエラスール五兄弟

バシリオは兄弟たちの夢を見ていた。彼らとは道場での思い出が多い。

長兄のイレネオは次代の王となる器だ。誠実で武勇に優れている。5兄弟の中でバシリオを最も気にかけてくれて、導いてくれる。

次兄レリオは気のいい斧使い。色男の三男リベリオとは好対照で、レイピアを使うリベリオとは毎回いい勝負をしている。

長女エルマは年若いが最も武勇に優れている。携帯性に優れているからと棒術を好んでいるが、剣も斧もレイピアも、最もうまく使えるのは彼女だろう。寡黙な性格で長兄のイレネオを守る良い騎士となるだろう。

あの日全員が炎の中で消えていった。どこに消えていったのか、真実に対面するのは今日だろう。確信を持って、バシリオはラザールの示した場所へと向かった。

クライマックス:ラザール・ミルバートン

犯罪都市プリンシパル。バシリオとともにラオグストもこの地に来ていた。

ラザール「ようこそ。私がラザール・ミルバートンだ。私はラオグストを消せと言われている。君を誘い出すのが最も有効であると確信していた。しかし、いいのかね。別働隊がタランを襲撃しているはずだが」

ラオグスト「エリザベスに任せている」

バシリオ「御託はいい。母上はどこだ」

ラザールの全身に真なる竜の力が顕現する。

ラザール「わが内に力として取り込んだ。この力はまさに竜、その身体はシエラスールの至宝。イルダ妃の心までは奪えなかったが、それも一族が死に絶えれば終わるだろう。我が爪と炎によって死ね」

ラザールは龍として顕現する。セットアップに複雑な模様を刻む直線のブレスを設置し、複数回の肉弾攻撃をしてくる。あるいは上空から強烈なブレスを狙う。HP5000を超え、300点超の範囲攻撃を連打してくるこの強敵を前にして、ラオグストとバシリオのみで戦うことになる。

必然、窮地に陥るが、これを救ったのは死んだはずのシエラスール五兄弟であった。彼らはラザールの攻撃を受け流し、あるいはダメージを蓄積させていく。

そして、3ターン目に開始時点で煉獄を始末したエリザベスが戦場に出現した。戦いはそれからさらに3ラウンドにおよび、合計6ラウンドでラザールの命脈は尽きた。

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エンディング1:ラザール・ミルバートンの最後

ラザール「望むものは皆この手に収めた。しかし、我がものとはならなかったか」

巨大な龍と化していたラザールは、致命傷を負った老人の姿に戻っていた。

バシリオ「なんでこんなことになったんだよ」

ラザール「シエスラールの至宝イルダには濃い龍血があった。そして、私には龍力を受け入れる寄代の才能があった。ヘカートの禁呪はイルダに深い絶望を与えれば与えるほど、龍血を奪える確率があがるというもの。だから、シエスラールの戦争は陰惨で長いものにする必要があった。だが、帝都からラオグストが来て戦争も終わりが見えた

ラザール「イルダ妃に絶望を与えるため、戦争最後の夜に夫であるシルヴェリオ王を殺した。そこのメイジ、エリザベスを雇ってな。ヘカートの禁術は発動し、わしはイルダと一体となった。その力を持って帝国の闇を支配するに至った」

エリザベス「帝国の闇を支配していた貴方は、誰の命でラオグストを殺そうとしたのか」

ラザール「ドミナス・ブランギース。皇帝など傀儡だ。ドミナスは自分が権力を握り、時代を動かすことに快楽を得る怪物だ。帝国の光も闇も、結局は奴のものだ」

ラザール「全てが仮初のものだった。帝国の闇の権力、シエラスールの至宝イルダ。何もかもが私のものであって、私のものではなかった」

ラザールの身体は炎に包まれ、そして灰となって消えた。灰の中からイルダの身体が再生される。禁呪の解除により、イルダが生還した。しかし、虫の息だ。

エリザベス「誤解していたことが一つだけあるよ、ラザール殿。イルダ妃に夫を殺されたと思わせるためだけならば、何もシルヴェリオ王を殺す必要はないんだ。仮初の死であっても、そのことを誰も疑わなければ真実の死と変わらない」

エリザベスは蘇生魔法を使いイルダを蘇生させる。

エリザベスシルヴェリオ王も生きている。ただ、ラザールが生きている限り、誰にもそれを伝えるわけにはいかなかった。ラザールがそれを知ったら、イルダ妃の支配を維持するために殺しに来ることは解っていたからね。あとは貴方たち次第だ

エンディング2:シエラスール戦の真実

長兄イレネオがシエラスール戦争の真実を語る。

イレネオ「シエラスール戦は泥沼だった。戦を終わらせる戦力を有する帝国軍は、ヘカートの禁術を確実に実行するために戦争を長引かせようとする。シエラスールは戦力はないが士気は最後の一兵卒まで戦えるほどに高かった。だが、真の意味で滅びるまで戦いきることを望む王族はいなかった」

イレネオ「シルヴェリオ王は強敵であるラオグスト殿を信じ、秘密会談を持った。戦を終えるための架空の皆殺し。私たちや兵たちは秘密の通路から逃げ、そのことを確認するために、シルヴェリオ王はイルダ妃と見回りをした。王の死を見せられ、ヘカートの禁呪はイルダ妃を捕らえた。一方で戦争は終わった。われ等は散り散りになり、シエラスール戦の真実は秘匿された」

イレネオ「ラオグスト殿は帝国に囚われたバシリオ、お前を育ててもくれた。俺たちはラオグストに感謝している」

バシリオ「昔からそうなんですね」

ラオグスト「8年もの間、家族となってくれて感謝している。これからは、シエラスールの王族として生きるがいい」

バシリオ「ボクはラオグスト様の従者で、家族です。シエラスールが復興するその日まで、まだ時間を要します。それまで誰がラオグスト様を守るんですか」

イレネオ「それがいいだろう。タランの支配地にシエラスールの皆が集まれる街を作らせてもらう。そこが落ち着くまで、ラオグスト殿には生きのびてもらわねばな」 

エンディング3:密談、そして帝国の侵略

フィネガンら主だったものたちが密談をしている。

フィネガン「煉獄はエリザベス殿が一人で相手をし、そして手傷を負ったままラオグスト殿らの救援へと向かった。あの深手でどうしてそこまでやるのか」

バシリオ「シルヴェリオ王を救ったのはシエラスールの王族に恩義を感じさせるためだと言っていました。ラオグスト様に恩義を感じさせるためだったのでは?」

ラオグスト「恩義は感じているさ。バシリオほどではないが」

エリザベス「それは良かった。“バシリオほどではない”もしても恩義を感じてくれて嬉しいよ」

その時、タランの街の上空の異界戦艦エレボスからアラームが鳴り響いた。

艦長「帝国軍が大軍で攻めてくる。装備から正規軍だ。指揮官は老将ガルブレイズ。練度が飛びぬけて高い部隊を指揮している」

かつての帝国最強にしてラオグストの師。ガルブレイズの出陣は帝国が、ドミナス・ブランギースが本気となったことを意味していた。

次回へ続く!