グランクレスト・「七つの大罪」 キャンペーン本編 第8話「イヴィルゲイザー討伐」
夏瀬さんGMのグランクレスト・キャンペーン第8話です。
イジェメック領を傘下に加えたラオグストたち。本シナリオでは帝国を含むアトラタン大陸全域に発生していたイヴィルゲイザーの大規模討伐戦が行われる。イヴィルゲイザーという共通の敵に対して、同時並行的に発生する帝国各所で起こる戦い。これは将来の戦乱での各陣営のベンチマークとなるのか。
グランクレスト戦記 第8話「イヴイルゲイザー討伐」
■登場人物
各キャラクターの詳細は下記参照。かなり多くなりました。
【PCたち】
- “憤怒の騎士”ラオグスト・タウラージ ロード/キャバリアー PL:粥さん
壮年の男性。悪逆なるセヴン・シン帝国から独立を宣言し、七大公国のうち3つを領有するに至った。 - バシリオ・シスラエール アーティスト/ドラゴン PL:しのさん
シスラエール最後の竜。ラオグストに命を救われ、彼の戦士となることを誓う。ラオグストの妻子の安寧を願っている。 - エリザベス・バートリー メイジ/サイキック PL:緋
バートリー商会の武器商人。ラオグストをセブン・シン帝国への反乱へと誘う。 - 艦長 投影体/オルガノン PL:黒野さん
混沌を駆逐するために建造された超時空戦艦のAI。エリザベスとの契約に基づきラオグストを支援する。
【タラン連合国】
- シセル:ラオグストの妻
- フィリオ:ラオグストの長子
- フィネガン:タランの宰相
- マロー将軍:隣国レガルトの将軍。弓と指揮の名手でラオグストを認めている。
- イズマとサイガ:老将と一番弟子。グラッチ・イジェメックの腹心であったが、主無きあとも領地を守っている。
- グーリ:イヴィルゲイザーを追う仮面のメイジ
【帝国軍・その他】
- 皇帝シン:セヴン・シン帝国の皇帝。暗君であると同時に帝国における最大武力。
- ドミナス・ブランギース:帝国宰相。イヴィルゲイザーを利用して帝国内の状況を観測していたが、イヴィルゲイザーの暴走を受けて帝国の関与の証拠を隠滅する指示を出す。
- プレッシン:ドミナスの腹心。
- ラザール・ミルバートン:帝国最大の犯罪結社の首領。
- アグニ:悪鬼隊の隊長。何者かの密命を受けている。
- イヴィルゲイザー:怪物の大軍団へリオンクラウドを率いる邪視する悪竜。暴走し帝国領内を荒らし始めた。
- 王弟デリット:文武両道の偉丈夫。 病で成人まで生きられぬと言われた兄に代わり皇帝になるはずであったが、皇帝の完治により王弟にとどまる。
- “強欲伯爵(グリード・カウント)”アイオン:七君主。伝統や誇りを重んじる国を治める、穏やかな美丈夫。 双剣の使い手で智謀にも長けている。
- “傭兵王(プライド・カウント)”ベルム:七君主。またの名を傭兵王ベルム。帝国全土で最強と噂されている豪傑。
- “暴食伯爵”ヴィッカーズ:熊のような巨漢。ブラウン・バートリーから新兵器を購入した。
- ブラウン・バートリー:バートリー商会会長にして、エリザベスの父。ヴィッカーズにイヴィルゲイザーを用意に屠れる新兵器を提供した。
- “蛇の”ドライゼ:七君主。故人。忠義に生き、ラオグストに討ち取られた。
オープニング1:ドミナス・ブランギースの朝
ドミナスはイヴィルゲイザーへの対応に追われていた。イヴィルゲイザーを操り、諜報網を構築していた魔導師へカートの死により、イヴィルゲイザーを制御できなくなったためだ。今となってはイヴィルゲイザーへの帝国の関与は、隠滅すべき情報となる。
ドミナス「帝国が関わったすべての証拠を消すのだ」
プレッシン「煉獄に指示します。イヴィルゲイザーの対処はどうしますか」
ドミナス「適当な理由をでっちあげて、シン帝国陛下に魔境ごと討伐していただく。皇帝陛下の威光にすがれば、すぐに滅ぼせよう」
プレッシン「用心深いことは結構なことですね」
オープニング2:悪鬼隊のアグニ
有能な政治家ウォルター・クロムウェルの加入により、タランの内政能力は大幅に向上した。宰相フィネガンと文官グレイスに集中していた政策立案、教育機能が周りだし、アベルによるドライゼ領の統治も安定的に運営されている。
自由時間にタランの街を眺めていたバシリオは将来この国はもっと良くなるとの確信を深めていた。そこにぎらついた目の少年、アグニが現れる。
アグニ「お前がバシリオだな。いい邪紋のイロだ」
バシリオ「君は何者だ」
アグニ「いいことを教えてやる。バシリオ、お前の家族は生きている。竜血の継承者、その為だけに生かされているのさ」
バシリオに対する召集の鐘が領主の館から鳴り響く。アグニは肩を竦めるが、バシリオは一気に距離を詰め、アグニを気絶・拘束した。
バシリオ「詳しいことはあとでゆっくりと聞かせてもらうよ」
オープニング3:ローレンス・アップルゲート
バートリー商会の天幕で水タバコに興じていたエリザベスのもとに、大商人ローレンス・アップルゲートが訪問する。彼らはアカデミーを介した友人でもあった。
エリザベス「珍しいね、ローレンス。どういった用向きかな?」
ローレンス「タランからサンドルミアを通る通商のための大陸航路を開きたい。そのためにラオグスト公の領内の開発許可・通行許可を得たい。君ならば許可を出せるだろ」
エリザベス「大陸航路か。それはいざとなれば軍の通る進軍路ともなる。両国の統治の安定と友好関係が必須だ。ベリナス・ベルダディエ王子がサンドルミアを制するまで5年、ラオグストがシン帝国の動乱を治めるまでに5年。いいだろう、大陸航路の開通を5年後にできるなら、その提案に乗ってもいい。ただし、大陸航路の権益の半分はいただくよ」
ローレンス「世界を繋ぐことが私の生きがいなんだよ、エリザベス。条件はそれでいい。ただし、人足はバートリー商会からも出してもらう、いいね?」
商人たちは合意した。彼らがどこまで未来を見通しているのかはいずれ明らかになるだろう。
オープニング4:フィリオ
ラオグストの息子フィリオは英才教育を受けている。政治はフィネガン、教養はグレイス、弓の師はレッドウィンド、そして騎乗はラオグスト。
ラオグスト「乗騎が伸びるかは乗り手次第だ。メテオールと足並みを揃えて悩むといい」
フィリオ「父さんは子供の頃どうしたの?」
ラオグスト「貧乏貴族の息子であった俺には教師はいなかったが、自由があった。時間があれば馬に乗り槍を振った。武功で身を立てるとの誓いをもってな。今は政情が不安定だから、何もかも自由とはいかないが、遠乗りができるようになれば見識も広められよう」
フィリオを頷く。息子がまっすぐに伸びていることは確信できた。
オープニング5:マロー将軍の来訪
ラオグストは隣国レガルトにイヴィルゲイザー討伐のための連合の結成を呼びかけ、マロー将軍との会談が始まった。
マロー将軍「イヴィルゲイザーはレガルトでも問題となっている。イヴィルゲイザー討伐に際して、後背を打つようなまねはしない。これは帝国内の他の七君主も同様だ。もし、この期間に争いを起こすものがいたら、タランは私が守ると約束する」
ラオグスト「協力に感謝する」
マロー将軍「老婆心ながら忠告がひとつ。ここまでタランの街が成功すると、擦り寄ってくる輩もいるだろう。妬みをもたれることもある。……暗殺に気をつけろ。英雄に代わりはいない」
ラオグスト「わかっている。油断はしない」
ミドル:煉獄の暗躍
ラオグストたちはイヴィルゲイザー討伐軍を編成し、魔境攻略に向かった。しかし、魔境周辺の町は破壊されつくしている。老若男女の区別無く皆殺しだ。
山間で山師の娘が数人の子供たちを匿うことに成功していたことに気づいた。
彼らの話では、フードの男たちが村々を皆殺しにして回っているということだ。特徴から煉獄の存在が垣間見える。イヴィルゲイザーと帝国の間にどういう繋がりがあるのかは分からないが、何らかの事情はあるのだろう。
しかし、今は先に進むしかない。
ミドル2:魔境ヘリオンクラウド攻略
魔境へリオンクラウドは混沌レベル20+という異常な地域であり、非混沌の軍隊が行軍することは極めて困難だ。しかし、魔境内にある混沌核を破壊していくことで、影響を抑えることはできる。
冒険者たちは行動値常時-30、コスト+20などといった致命的なものを中心に混沌核を破壊して回った。そして、飛行状態以外のキャラクターの達成値常時-30を受け入れたままクライマックスへと向かう。
これらの行動の最中、魔境からは超視覚として、帝国すべての状況が垣間見えた。
- シン皇帝は圧倒的な個人の武力で帝国首都近郊のヘリオンクラウドを一刀のもとに切り捨てた。王弟デリット公はその様子を忌々しげに見つめていた。
- 七大公のアイオンは領地の軍を率いて優雅に、ベルムは傭兵団で無骨にヘリオンクラウドを討伐していた。
- 七大公“暴食の”ヴィッカーズはブラウン・バートリーから得た新兵器でヘリオンクラウドを一撃で屠っていた。ヴィッカーズの領地は帝国最大の商業港を持っており、その資金力を生かし強力な兵器をバートリー商会から購入したようだ。
- イジェメック領は君主がおらず、老将イスマと弟子のサイガは苦戦している様子。
- ドライゼ領のヘリオンクラウドの前には故人となったドライゼの槍が立ちふさがり進軍できないようになっていた。ドライゼ領の民は奇跡として、ドライゼに深く感謝をしていた。
- 隣国レガルトでもマロー将軍がヘリオンクラウドと戦っていた。
ミドル2:ヘリオンクラウド戦
ヘリオンクラウドは最大HP5000+の強大な耐久力を持ち、行動値70から10刻みで端末ユニットを動かして攻撃してくる。またマップの左右両端からは全体攻撃を仕掛けるためのユニットが間断なく突撃してくる。また、魔境の影響により飛行できないユニットは達成値を常時-30される厳しい状況である。
冒険者たちはエリザベスの飛行魔法を端緒として、ペナルティを掻い潜り、バシリオを壁にしてヘリオンクラウドの攻撃をやり過ごしながら、範囲攻撃を畳み込み、2ターンでヘリオンクラウドを撃破する。
エンディング1:イヴィルゲイザー
魔境ヘリオンクラウドを通して、セブン・シン帝国の各地の英雄たちが相互に力を見せあう戦闘であった。結果として、シン皇帝、七大公、ラオグスト、連合国家郡すべてが勝利した。ただし、ロードを持たないイジェメック領では老将イスマの死を伴う悲しい勝利となった。
破壊されたイヴィルゲイザーの混沌核を吸収したとき、イヴィルゲイザーを形作っていた古の機械から、綺麗な青い球体の映像が立体投影された。大いなる蒼き空の色をした球体。イヴィルゲイザーの目的を理解し得たのは艦長、星海に対して一部知識を持つエリザベスくらいだっただろうか。
エンディング2:幻視/ドライゼ
ラオグストは帰途において、不思議な幻視を見た。
馬に揺られ、気がつくと美しい庭園にいる。椅子に座り手招きするドライゼ。
ラオグスト「ここは涅槃か」
ドライゼ「お前には帰るところがあろうよ、ラオグスト。ただ、一献交わしたかった」
ドライゼ「私は貴殿は“民のため”という言葉に酔っていると言ったが、その私も忠義という酒に酔っていた。信念のあり方の差で君は勝ち、私は涅槃に行くことになった」
ラオグスト「民と仲間によって私は生かされている」
ドライゼ「そうだろう。この槍は君が引き継げ。ドライゼ領にいる君の仲間と民に尽くせ」
魔境から出たとき、ラオグストの手にはドライゼの風魔槍が握られていた。
ラオグスト「重いな。武功で身を立てると誓ったときのあの槍よりもずっと重い」
だが、この槍は自らが死すときまで離すことはあるまい。ラオグストはそう感じた。
エンディング3:次回予告
イジェメック領を支えたイスマの死に揺れる連合国家。そして、アグニから告げられる依頼主の正体。セヴン・シン帝国の闇を支配するラザール・ミルバートンの目的とは。
次回へ続く!