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緋ニッキ

東京近郊のTRPGプレイヤー緋のブログ。トーキョーNOVA THE AXLERATIONのシナリオ、ダブルクロス等のダイスアプリ、Skypeオンセのノウハウ等を公開しています。

ネヴァーウィンター・キャンペーン 第18話「正義の館での戦い」

黒野さんDMのD&D 4th ネヴァーウィンター・キャンペーンの18話です。

ネヴァーウィンターの反政府組織「アラゴンダー息子たち」に入り込もうと暗躍するならずものの組織「死鼠団」。彼らはその手段としてアラゴンダーの息子たちの過激派リーダー、アーロン・ブレードシェイパーの監禁し、彼に成りすまして命令を出していた。アーロンと旧知であった冒険者たちは義侠心から、アーロンを救出する。

「死鼠団」の頭目ルソルクを倒し救出されたアーロンは、五体を縛り付けられ、ワーラットに感染していた。

パーティー

各キャラクターの詳細は割愛。

  • アシュタール/指揮役(アーデント) PL:夏瀬さん
    壮年の男性。ネヴァーウィンターの正統な後継者となった。
  • プラチナ/制御役(ブレードダンサー) PL:はたはたさん
    ピクシーの少女。テーマはハーパー・エージェント。
  • ベアトリス・ウィンターホワイト/防衛役(ソードメイジ) PL:緋
    エラドリンの女騎士。テーマはイリヤンブルーエンのフェイ。ネヴァーウィンター卿に命の借りがある。
  • ギルターク・ヴァーリン/撃破役(ローグ) PL:妖くん
    ドラウの傭兵団員。敵対していた妹が権力の座に上り、故郷と敵対的な関係にある。テーマはブレガン・ドゥエイアゼ・スパイ。

オープニング:黒き死の翼

サーイのリッチ、ヴァリンドラ・シャドウマントルと配下の赤魔道士達は古のドラコリッチ ”鎖に繋がれし巨竜”ロラガウスを蘇らせ、ついにネヴァーウィンターへの侵攻を開始する。

ネヴァーウィンター守護卿、ダカルト・ネヴァレンバーは正義の館の執務室に座して 

矢継ぎ早に飛び込んでくる報告を聞いていた。突如市街に湧きでた悪魔や死霊の群れと守備隊が交戦状態に入って数日。ネヴァーウィンター森からは次々と不死者の軍勢が現れ、都市の防衛圏へと接近しているという。
多大な被害を出しつつもなんとか守護卿区周辺の敵を一掃したものの、未だ市内には悪霊が跳梁跋扈していた。かの英雄達が大裂孔に消えてからしばらくして湧き上がる狂気の歌は消えた。これで落ち着いて街の再掌握に乗り出せると思った矢先の混乱だった。

「現状の戦力では敵の本拠地があると思われるネヴァーウィンター森深部への侵攻は困難かと」
「ですがウォーターディープ本国からの増援が到着するまで3週間。それまで粘りきれば我々の勝ちです」

「3週間か……」

眠らず、恐れを知らず、自らを省みぬ不死者の群れ。サーイの軍勢は恐るべき脅威だった。だが、防壁たるヘルム砦は固く門を閉ざしていまだ健在。兵達には長い三週間になるだろうが、市街の敵を制圧できれば増援の到着まで粘る事は出来そうだった。

「苦難の時ですな……しかし閣下が額に王冠をいただくまであと一歩です」

脇に控えていた豪奢な衣服の男が天鵞絨のように滑らかな声で囁く。

モルダイ・ヴェル。成功した商人。ネヴァーウィンターの大立者。人脈面でも財政面でも彼の協力無くしてはこの街の掌握は不可能だった。だが、この男は信用出来ない。
確かに、かの英雄達は目の上の瘤だった。それでも、それを排除するために彼がとった手段は……。陰謀はよい。裏切りも時には必要だ。だが、ダカルト・ネヴァレンバーは恥知らずではない。それは王者の特質ではない。

人当たりのよい笑顔の影で常にこちらの隙を伺うようなモルダイの目。彼とは道を分かつことになるだろう。それもごく近いうちに。

混乱する本陣を眺めながら守護卿は密かに溜息をつく。忌々しい死鼠団の存在が市街に入った部隊の活動を妨害していた。ソマン・ガルト。あの有能な男が生きて入れば。

そして……あのフェイの乙女は地の底で絶望とともに果てたのか。今際の際に彼女の唇は裏切り者を呪う言葉を吐いただろうか。

この数日間幾度と無く繰り返した物思いに再び沈もうとした時だった。恐るべき咆哮が轟いたのは。

オープニング:サーイの死人たち

 

蘇ったドラコリッチ ”鎖に繋がれし巨竜”ロラガウスはネヴァーウィンター上空を二度横切った。守護卿区も、ネヴァーデスも、海岸地区も、ブラックレイク地区も、ネヴァーウィンター市街の大部分が天空から降り注ぐ炎の雨に包まれた。

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ロラガウスがホートナウ山の方に去った後、街中に死人どもが溢れ出てきた。死人どもは、死霊術の国サーイがニュー・シャランダー近辺に建造した要塞兼儀式焦点具が恐怖環で、冒涜的儀式の結果として製造されたものたちだ。

冒険者たちは第八話において、この陰謀の存在をニュー・シャランダーの議長メリサラから聞かされていたが、この陰謀を置いてネヴァーウィンター市に帰還することを選択した。結果として、妨害を受けなかったサーイの陰謀は完全な形で機能し、今、ネヴァーウィンター市を滅ぼそうとしている。

redman-jp.hatenablog.com

ミドルフェイズ:決断

千の顔の家では、ハーパー・エージェントのトラムとセリスが、アーロン・ブレードシェイパーの様子を見ている。度重なる拷問で身体は傷ついているが、ワーラットの生命力によって命だけは繋ぐことができそうだ。ただ、意識を取り戻した彼がワーラットに変わり果てた身体を見たら、どのように嘆くのだろうか。

アーロンの容態が落ち着いたことを確認し、トラムが口を開いた。

「キムリルはサーイの手の及んでいないアラゴンダーの息子たちを纏め上げ、ヘルム砦に向かった。ヘルム砦はネヴァー森奥にある恐怖環から流れ込むアンデッドどもがこの街に来るための通過経路にある。ダンフィールド隊長たちは自衛のために戦っているだけだろうが、この混乱の最前線となってしまっている。彼女が心配だ。助けにいかないか」

アシュタールは首を振る。

「今この街で起きている混乱を収めることが最優先だ。ダカルト・ネヴァレンヴァー卿のミンターン傭兵団を立て直すのが急務だ。抜け目のないダカルト卿ならば、ウォーターディープから事態の解決に足りるだけの兵力を調達することも可能だろう」

キムリルに恩のあるプラチナが反対しないか、ベアトリスは視線を向けたがプラチナはアシュタールの提案に同意した。そして、ギルタークも同意する。

「ダカルト・ネヴァレンヴァーが死すべきときは今日ではないな」

遭遇1:千の顔の家での戦い

アシュタールたちがハーパーたちとの別行動を決定したとき、千の顔の家にアンデットの腐臭が漂ってきた。爪の長い大柄な死体ボーンクロウ、超自然的存在によってねじくれた死を与えられた死体ボダック、そして先ほど倒した死鼠団のルソルクがレイスとなって冒険者たちを襲撃してくる。

特にボダックの死の凝視は、即死効果により一撃でギルタークのHPを0にするなど、驚異的な戦力を発揮する。戦闘自体はプラチナのカラー・スプレーによって冒険者たちが優位に進めたが、ギルタークは多くの回復力を失った。

勝利した冒険者たちはトラムたちと分かれて、ダカルト卿の居城である正義の館へと向かった。

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遭遇2:正義の館での戦い

正義の館は元ティア神の寺院であり、壮大な石組みで構築された輝かしく美しい建物であった。しかし、今は古のドラコリッチ ”鎖に繋がれし巨竜”ロラガウスの炎と死人たちによって、穢されている。それでも、正義の館の奥では今も戦いの音が聞こえている。

冒険者たちは正面から入り、戦いの音が響く守護卿の居室を目指すことにした。正義の館の中は入り組んでおり、通過する経路ごとに遭遇するモンスターが異なり、状況によっては他の区画から敵が出てくる厳しい戦闘となった。

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入り口を開けたギルタークはアビサルグールの群れの襲撃を受けた。ワイトは扉を透過しながら冒険者たちを翻弄する。さらに、アビサルグールの群れを潜り抜けて中庭に出ると大きなボーンクロウが配置されており、前後からボダックとアビサルグールとワイトが増援として出てくる。

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エンディング:合流

ボダックの死の凝視の効果でプラチナが即死効果(HP0)を受けるが、アシュタールのヒールで回復し、中庭の敵の大部分を駆逐した。その時、守護卿の執務室側からもダカルト卿の声が響き渡った。

「今だ、押せ!」

冒険者たちは守護卿の勢力と中庭で合流を果たした。

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正義の館の外ではまだ戦いは続いている。しかし、ひとまず正義の館はダカルト卿の支配下に戻った。ダカルト卿は精力的な笑顔でアシュタールに話しかけた。

ダカルト卿「アシュタール。私は君が失われた王冠の所有権を持っていることを認めることはないだろう。しかし、我々の目的は概ね一致していると言えるだろう。力を合わせる気はないか?」

アシュタール「以前にも言っただろう。私はお前が嫌いだ。いずれ袂を分かつことになろうだろう。しかし、今は力を合わせなければならない。お前たちも、アラゴンダーの息子たちも、私たちも力を合わせることができなければ、この街に未来はない」

想定していた答えだったのだろう。ダカルト卿は頷くとベアトリスに言った。

ダカルト卿「我が麗しの乙女よ。貴方が無事の心配に我が心は砕けそうになっていた。無事に再開できたことが最大の奇跡だ」

ベアトリスはダカルト卿の真意を見通そうとする。心配をされていることは嬉しいものだが、この状況が奇跡であると喧伝する意図はそれだけではないだろう。

ベアトリス「そちらも無事で何よりだ。だが、今は再開を喜ぶよりも、事態の打開に心を配るべきだろう」

ダカルト卿は当然のように頷くと、勝利を確信したかのごとく笑った。

ダカルト卿「ああ、もちろんだ」

ダカルト卿がこのとき、望んでやまなかったもの全てに手をかけつつあったことに気づいていた者はいなかった。ミンターン傭兵団、アラゴンダーの失われた王冠、抹消すべき正当な王権の末裔、永遠に生きこの街に彼の影響力を残す理想的な伴侶。

次回へ続く!