緋ニッキ

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グランクレスト・「七つの大罪」 キャンペーン本編 第6話「その望み、誰がために(前編)」

夏瀬さんGMのグランクレスト・キャンペーン第6話前編です。

七大公“羨望の”ドライゼを打ち倒し、ドライゼ領を手中に収めたラオグスト。次なる敵は七大公“怠惰の”グラッチ・イジェメック。北方にて民に神と崇められる救世主。 自由を信望する彼はドライゼ領を手中に収めようとラオグストに宣戦布告をする。

グランクレスト戦記 第6話「その望み、誰がために(前編)」

 

■初期設定・パーティー

初期設定、各キャラクターの詳細は下記参照。

  • “憤怒の騎士”ラオグスト・タウラージ ロード/キャバリアー PL:粥さん

    壮年の男性。悪逆なるセヴン・シン帝国から独立を宣言し、七大公ドライゼ領をも手中に収めた。

  • バシリオ・シスラエール アーティスト/ドラゴン PL:しのさん
    シスラエール最後の竜。ラオグストに命を救われ、彼の戦士となることを誓う。ラオグストの妻子の安寧を願っている。

  • エリザベス・バートリー  メイジ/サイキック PL:緋
    バートリー商会の武器商人。ラオグストをセブン・シン帝国への反乱へと誘う。

  • 艦長 投影体/オルガノン PL:黒野さん
    混沌を駆逐するために建造された超時空戦艦のAI。エリザベスとの契約に基づきラオグストを支援する。

オープニング1:ドミナスの朝は早い

帝国宰相ドミナスは不機嫌であった。ドライゼの敗北、それ自体はいい。ドライゼにより押さえつけられていた“怠惰の”グラッチ・イジェメックがドライゼ領を切り取りにかかるのも目論見どおりだ。しかし、グラッチはドミナスの命に従うのではなく、自らの意志でラオグストを訪問しているという。結果は同じだ。だが、意のままに事が運ばないことが苛立たしい。

プレッシン「グラッチ公は旧ドライゼ領を切り取ることを思いたち、すぐにラオグストとの会見に臨んだとか。展開が早過ぎて足取りが掴めません」

“怠惰の”グラッチ・イジェメック。稀代のカリスマ。死すら蘇らせるほどの奇跡を持つ救世主にして、北方に自らを神とする宗教国家を打ちたてた男。

ドミナス「グラッチ・イジェメック。怠惰なくせに我が意に反することばかりは迅速だ。何もかもお前の自由になると思うなよ、愚か者。足元からひっくり返してやる」

ラオグストにチャンスがあるとすれば、グラッチにはドミナスの支援がないこと、それだけだ。

オープニング2:走れない馬

馬小屋。ラオグストは息子のフィリオに馬を教えていた。そこで出産間近な母馬の様子がおかしいことに気づいた。子馬の成長にはまだ時が必要であるが、出産が近いことを予感させる。満足に走れない子馬であれば、息子に残酷な原理を教えることになりかねない。

今は見守るしかない。そう考えたラオグストの手で王騎の印がうっすらと輝いていた。

オープニング3:グラッチ・イジェメック

ドライゼ領の領主の館。ドライゼ領の安寧のため、ラオグストはドライゼの息子アベルを代官とすることに決めた。ドライゼの遺書を読んだアベルは敵意と諦観の篭った目で従属聖印を受け入れる。ドライゼの跡継ぎが代官ということであれば、ドライゼ領の受け入れも進むだろう。

そのとき神官服を纏ったグラッチ・イジェメックが単身で入ってきた。彼はアベルを見て、にこやかに言う。

グラッチ「ドライゼ殿は私と深い縁があった。アベル殿はわしの聖印を用いてこの地を収めるとよい」

動揺するアベルをラオグストが落ち着かせる。

ラオグスト「この地はドライゼ殿から受け継いだものだ」

グラッチ「そうか。ではわしの国はラオグスト殿に宣戦を布告する。わしの国は一枚岩だ。ドライゼのように簡単にはいかぬ」

ラオグスト「この地は渡さぬ」

グラッチは豪快に笑うと、領主の館を後にした。

艦長「人民への被害を最小限にするためには、すぐに後を追い殺害すべきだ」

ラオグスト「王道から背けば民は付いてこない。宣戦布告を受けて、正式な戦争で倒すしかない」

艦長「なるほど。理ではなく、道を選ぶのか」

この日、イジェメック領から正式に宣戦布告が通達された。決戦の地はドライゼと決着をつけたデリーズル領である。

ミドル1:バシリオへの勧誘

宣戦布告の前。グラッチがバシリオを訪問する。彼は稀代の人たらしの笑みを浮かべてバシリオを勧誘する。

グラッチ「わしの仲間になれ、バシリオ・シスラエール。わしの元であれば、過去を忘れて真に力を発揮できよう」

グラッチは余人には抗いたいカリスマ性でバシリオを魅了しようとする。

 

バシリオ「貴方のために剣を振るう理由がない」

グラッチ「お前は竜だ。人と同じ時間は生きられぬ。ラオグストも、ほかの誰ともだ。奴はわしより早く死ぬ。死を超越したわしだけが、お前と同じときを生きられる」

バシリオ「あの人たちがいなくなれば、僕はシスラエールの守人となるだけだ。貴方の傘下にはならない」

グラッチ「残念だ」

ミドル2:艦長への勧誘

艦長への面会を申し出て、艦内に入ったグラッチは驚嘆する。艦内は銀河の星屑で埋め尽くされていた。この世界で誰も知ることのない、法と混沌の最終戦争の痕跡。艦長の故郷の風景。

艦長「失礼した。環境を安定させる」

グラッチ「異界戦艦。貴艦の技術は何を目的としたものだ」

艦長「法と混沌の最終戦争を解決するためだ」

グラッチ「すばらしいな。わしに協力しないか」

グラッチは余人には抗いたいカリスマ性で艦長を魅了しようとする。

艦長「30年前に邂逅していれば、その選択肢もありえただろう。だが、その選択肢はもはやない。この地に大きなかがり火ができている」

グラッチ「わかった。どうやれば帰れるかな」

 

艦長はグラッチの帰途の安全を保証した。

ミドル3:実験場

グラッチはデリーズル領近辺の砂漠にて、エリザベスとの面会を行った。

異界技術により高高度に蓄積された大質量の岩石が、エリザベスの魔力に誘導されて大地を削り取る。これは攻城兵器のテストに他ならない。

エリザベス「それで、貴方は何のために私たちの力を得たいの?」

グラッチ「わしは自由になりたい。そのために力が必要だ。わしと同じだけ生きるものはおらず、いずれは全てがわしの自由となるが、それまで待つのは嫌だ。皇帝を打ち倒せば、誰もわしを束縛できるものはなくなるだろう」

エリザベス「皇帝を倒すという手段は私たちと一緒だね。でも、貴方よりラオグストのほうがうまくやるよ」

グラッチ「何故、お前たちはわしに従わない」

グラッチは余人には抗いたいカリスマ性でエリザベスを魅了しようとする。

エリザベス「それは私にはきかない。覚悟がないからだ。ラオグストは必要なら何でもやるよ」

グラッチは去った。

ミドル4:準備

ドミナスによる外圧は弱く、アカデミーサポートの大部分は有効に機能している。ラオグストたちは訓練やアカデミーサポートの再活性を行い、グラッチとの戦争に備えた。

クライマックス:戦争

デリーズル領にて両軍は向かい合う。

グラッチ領は超高レベルのメサイア/パラディンであるグラッチによる支援を受けて、武官である老将イズマと、彼の弟子であるサイガを前面に立てる戦術で攻め立てる。彼の軍の特色は、グラッチへの心酔により士気が落ちず、無限に出現し、また敵軍の士気回復を許さないことだ。また、彼らは攻撃を受けるたびに対応して+100点以上のバフ、デバフ、反撃を行う。加えて、グラッチはイニシアチブプロセスで回復魔法を使うことができる。勝利するためには回復する暇を与えずにグラッチを削りきるほかない。

長期戦を行うことが困難であると判断したラオグストたちは、騎馬、魔術、ブレス、砲撃、攻城兵器による面制圧を試み、壮絶な打撃戦となった。ひとつのイニシアチブプロセスの中で多数の攻撃と反撃が乱れ飛んだが、回避力に優れたラオグストたちはグラッチ軍の攻撃を受け流し、打ち勝った。

なお、PCマーカーは太陽の塔である。足を止めての殴り合いとなった。

グラッチは負傷し、自領へと撤退した。 

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エンディング:戦後処理

グラッチ軍は、グラッチの撤退をもってしても反抗的な態度を崩さなかった。ラオグストは戦争の手続きにそって捕虜の安全確保と、人質としての対応を命じたが、両国の戦争がすぐには終わらないことは明らかだ。グラッチのカリスマ性に引かれて、多くの民兵が集まっているとの噂もある。

艦長「狂信者どもの相手はいつまでもできない。どうする、ラオグスト?」

ラオグスト「グラッチ領を攻める。グラッチを討ち取らなければいつまでも繰り返しだ」

エリザベス「城攻めは過酷だぞ」

ラオグスト「我々も覚悟を持たなければならない。戦を始める前に私が皆と話をしよう」

バシリオ「グラッチはまるで洗脳のように意志を奪います。グラッチ軍が自らの意志でこの戦争に参加したと言えるのか。僕はこれからもラオグスト様の力となります」

しかし、バシリオは青ざめた顔をしている。故郷を滅ぼされた経験が攻められる側の気持ちを理解してしまうのだ。

エリザベス「長期戦にはしない。フィネガンと策を練るよ」

エンディング:フィネガン

フィネガンはいつにも増して張り詰めた表情をして策を練っている。彼は王道を進むはずのラオグストに過酷な作戦の指揮をとらせることに、良心の呵責を強く感じている。

エリザベスは戦乱を終わらせるためにラオグストを戦争へと誘うが、フィネガンはその後の統治を含めてラオグストのことを考えている。両者の目的の違いはあれど、ラオグストを勝利させるという一点において彼らは同じ目的を共有している。

エンディング:生誕

馬小屋にて母馬は元気な子馬を生んだ。出産は困難なものであったが、子馬はいずれ次代の王の騎馬となる風格を備えることになる。

次回へ続く!