ネヴァーウィンター・キャンペーン 第十一話「忘れられた道」
黒野さんDMのD&D 4th ネヴァーウィンター・キャンペーンの十一話。
今回はネヴァーウィンター市への移動の話です。
セッション前:ウィンターホワイト
吹雪の夜。汚れた老いぼれドワーフ亭には、カードに興ずるギャンブラーたちが集まっていた。そこに氷の瞳をしたエラドリンがいた。彼女は流麗にカードをシャッフルすると、誰ともなく告げた。
「賭け事は好きか?カードで賭けをしよう」
アシュタールは笑う。
「受けた」「グッド」
プレイヤーは二人。アシュタールは先週のカード大会で結果を残したプラチナに、ベアトリスは自身に魂(2500gp)を賭ける。結果として、ベアトリスは2500gpを獲得、アシュタールは2500gpを喪失した。
かくてセッションの幕があがる。
パーティー
各キャラクターの詳細は割愛。今回は吉井さんはお休み。
- アシュタール/指揮役(アーデント) PL:夏瀬さん
壮年の男性。テーマはネヴァーウィンター・ノーブル。 - プラチナ/制御役(ブレードダンサー) PL:はたはたさん
ピクシーの少女。テーマはハーパー・エージェント。 - ベアトリス・ウィンターホワイト/防衛役(ソードメイジ) PL:緋
エラドリンの女騎士。テーマはイリヤンブルーエンのフェイ。 - ギルターク・ヴァーリン/撃破役(ローグ) PL:妖くん
ドラウの傭兵団、ブレガン・ドゥエイアゼのスパイ。 - “見濁の”リンボリー/撃破役(エレメンタラー) PL:吉井さん
呪痕持ちの傭兵。魔術師。テーマはスペルスカード・ハービンジャー。今回はお休み。
オープニング:忘れられた道
冒険者たちはミンターン傭兵団や毒龍カリキリファクスを打ち破り、預言者ロヒーニを救った。そして、ヘルム砦の呪力の乱れを解決した。闇の中で陰謀を仕掛けた者を突き止めるためには、ネヴァーウィンター市へ向かわなければならない。
しかし、吹雪によりネヴァーウィンター市への陸上移動は困難だ。冒険者たちはヘルム砦の兵士たちから、忘れられた道という隠し道の情報を入手していた。ネヴァーウィンター市とヘルム砦を結ぶ地下道。建設後に廃棄された地下道を通れば、吹雪を避けてネヴァーウィンター市にたどり着けるはずだ。
冒険者たちが“忘れられた道”へと進入する後ろから、細身の集団が後を追跡を始める。
遭遇1:ドラウの賞金稼ぎ
忘れられた道は遥か昔に廃棄された坑道だ。古くて、深すぎて、打ち捨てられた地上の建物が地下まで沈み込んでいる箇所もある。その一つ、かつて地上にあった塔が地下に沈んだことでできた奇妙な地形に差し掛かったとき、暗がりから細身の集団が現れた。ドラウ。ギルタークの故郷、蜘蛛神ロルスの都、メンゾベランザンに拠点を持つ、暗がりに生きるエルフ。
ベアトリスが告げる。
「ここを通してもらおう。闇のものよ」
陰鬱な笑い声が答える。
「それはできない。イリヤンブルーエンのフェイ。人間。フェアリー。そして、ギルターク・ヴァーリン」
ギルタークが答える。
「妹の雇った奴隷階級のものか」
ドラウは女系家系で、ギルタークの家系は妹が家督を継いでいる。彼らはギルタークと同じ家紋を所持している。
「貴族気取りのギルターク。お前の妹は優秀だ。お前の家はいまやメンゾベランザンで飛ぶ鳥を落とす勢いでのし上がっている。家督を確実なものにするためにお前に賞金をかけたってわけさ。仲間たちも運が悪かったな」
「悪いな。巻き込んだ」
敵はドラウの剣士3人と、シャダーカイ2人(カラスの目を持つシャドウフェルの種族)、そして炎の中で燃える蛇。朽ちた塔の上で、登攀と瞬間移動、位相移動を繰り返しながら後ろを取り合う冒険者たちと敵の戦いは、イニシアティブに勝った冒険者たちの勝利で終わった。
遭遇2:マンティコアの食堂
戦いを終えたギルタークは語った。陰鬱なドラウの社会。家督を巡る妹との確執。
ベアトリスは答える。
「妹と会うべきだ。血を分けた肉親が分かり合えないはずはない」
「会ったときにはどちらかが死ぬだけさ」
忘れられた道はネヴァーウィンター市へと近づくについて、人工的な区画となっていた。暗視持ちにしか見極められない闇に包まれた区画に、乾いた血の匂いが充満している。
松明を投げ込むと、そこには赤い毛皮に蝙蝠の翼、蠍の毒針に醜悪な老人の首をつけた邪悪な怪物、マンティコアが潜んでいた。
「地上から新鮮な肉が届きおった。善哉、善哉」
「くたばれ、怪物」
血気盛んに暗がりへと踏み込んだ冒険者たちに柱の影から大量のオークが襲いかかる。しかし、アシュタールの一日毎パワーによる弱体化・幻惑の効果で、冒険者たちは勝利した。
遭遇3:地上への通路
忘れられた道の奥、位置的にはネヴァーウィンター市の近く。冒険者たちは地下通路に棲みついていたゴーゴン(D&Dのゴーゴンは牛)とグリムロックの襲撃を受けた。
崖に面した通路で、ゴーゴンによる押しやり攻撃がギルタークを崖の下へと追いやるが、アシュタールのスキルにより元の場所へと無限シフトしたギルタークが敵を各個撃破していく。冒険者たちは地上へと出た。
エンディング:ネヴァーウィンターへの帰還
忘れられた道はネヴァーウィンター市を見下ろす崖の上へと通じていた。地上へ地上へと上っているうちに、高度のある崖の上に出たのだ。
冒険者の眼下で、ネヴァーウィンター市の各所で煙が立ち上っていた。火事ではない。積み上げられた人の死体が、街の各所で焼かれているのだ。
「いくら貴方たちでも、この事件は解決できない」
次回、ネヴァーウィンターキャンペーン「疑惑」。
策謀の闇に迫ることはできるのか。