ネヴァーウィンター・キャンペーン 第十話「呪力の底 - アサイラム - 」
黒野さんDMのD&D 4th ネヴァーウィンター・キャンペーンの十話です。
今回は預言者ロヒーニが作り上げ、彼女がミンターン傭兵団に監禁されているとされる、収容所~アサイラム~への潜入を行いました。毎回面白いです。
セッション前:高レートMtG
世間がアベノミクスにより好景気を迎えた2010年代の東京。通常のギャンブルに飽いたものたちは、ゲーム内通貨の賭け事に興じていた。彼らはオークションハウスとゲットバッカーズの話をしながら、高レートMTGの賭けに興じる。本日の収支はベアトリスは200gpを獲得、アシュタールは200gpの喪失であった。
かくてセッションの幕があがる。
パーティー
各キャラクターの詳細は割愛。今回フルメンバーの参戦。
- アシュタール/指揮役(アーデント) PL:夏瀬さん
壮年の男性。テーマはネヴァーウィンター・ノーブル。 - プラチナ/制御役(ブレードダンサー) PL:はたはたさん
ピクシーの少女。テーマはハーパー・エージェント。 - ベアトリス・ウィンターホワイト/防衛役(ソードメイジ) PL:緋
エラドリンの女騎士。テーマはイリヤンブルーエンのフェイ。 - ギルターク・ヴァーリン/撃破役(ローグ) PL:妖くん
ドラウの傭兵団、ブレガン・ドゥエイアゼのスパイ。 - “見濁の”リンボリー/撃破役(エレメンタラー) PL:吉井さん
呪痕持ちの傭兵。魔術師。テーマはスペルスカード・ハービンジャー。
オープニング:アサイラムを取り巻く狂気
ヘルム砦に帰還した冒険者たちは、この数ヶ月で変わり果ててしまった街の様子を聞き、ミンターン傭兵団に監禁されているという預言者ロヒーニの救出のため、収容所~アサイラム~という区画に向かった。ここからは、金に煩いエレメンタラー、"見る濁の”リンボリーも同行する。
アサイラムの裏側、重度の呪傷持ちが収容されているエリアに入る前、アサイラムを取り巻く巨大な呪力の痕跡を全員が感じ取った。収容所の地下深くから流れていく風が、圧倒的な呪力の流れを示している。ヘルム砦をおかしくしか、不吉な風の正体はこれなのか。
冒険者たちは己をこの場所に駆り立てた動機を掘り下げながら(ランダム夢チャートで発生したショートストーリー)、収容所の奥へと進んでいく。
遭遇1:アサイラム
収容所にはけたたましい笑い声が響いていた。
「火火火、きれいな、かわいい、小さな火」
子男が燃える炎を一心に見つめている。
「注ぎ続けないと!世界が滅びてしまう!」
大男が両手に持った椀の間で交互に水を注ぎ続けている。水が撥ねることで失われる水量は、彼の涙が補っていた。
通路の向こうには巨体のゴライアスが呪傷持ちたちを監視している。
ここにはロヒーニはいない。収容所エリアを抜けようとする冒険者たちの後方から、療養所の看護人せむし男のトルガーが出現した。
「何をしている?ここから出ようだなんて、狂っているのか?」
その時、世界が裏返った。壁も、廊下も、トルガーも全てが裏返った。地下世界から響く声がこの世界の因果律を乱し、この地を何者か、怪物の体内の如き状態としている。
トルガーは狂った目でこちらを見て言う。
「君たちは森の中で危険な胞子に侵されていた。脳髄を取り出して、保存するしかなかった。ここは15年後のヘルム砦だよ」
ここは駄目だ。地面の奥から届く呪力によって、全員の頭がイカレテイル。冒険者たちは推し通ることを決めた。
呪痕持ちは体が変化し、多くはファイルスポーンの呪痕使いとなっていた。加えて、周辺に油を撒き、自分に爆弾を設置している。死ぬために突撃をすることもある。収容所の空けていなかった扉から増援が飛び出してくる。
数人がデスレイを振る強度の高い戦闘の末、冒険者たちは勝利した。
ミドル:預言者ロヒーニ
聖女と呼ばれた癒し手、ロヒーニは自ら巻いた鎖によって収容所の柱に縛られていた。
「立ち去りなさい。地下にある呪力の座から魔力が漏れ出し、ヘルム砦に地獄の門が開こうとしている。カルティリファクスの復活、その奥に潜む呪力の座、貴方たちでは突破できない」
プラチナが言う。
「それでもやるしかないんだ!」
「こうして話している私も狂気に陥っている。今話していることが正しいのか、正しくないのか。冒険者たちよ、地下に行くのです。そして呪力の座を停止させなさい」
ロヒーニは狂気に陥っており、進め、とも行けとも冒険者に言う。彼女のことは残念だが、ここに置いて行くしかない。膨大な魔力で暴走する呪力の座を止めなければ、ヘルム砦は早晩崩壊するだろう。
遭遇2:リントブルム・カルティリファクス
収容所の地下は硫黄等により以上に透明度の高い、生物の棲み得ない毒の沼地があった。そこに緑の肌をしたエルフに似た外見の少年がいる。
プラチナ「お前も狂っているのか?」
カルティリファクス「我が名はカルティリファクス、ロヒーニによってこの地に捕らえられていた者。我が狩場に来た闖入者である君たちが問うことには答えよう。我が狂気に侵されているのかを語るためには、正気の定義を決めなければならない」
ベアトリス「お前と交わす言葉などない。カルティリファクス。ネヴァーウィンター森で多くの同胞を惨殺した悪龍よ。我らの道を遮るなら容赦はせぬぞ」
カルティリファクス「エラドリン?ああ、あの餌たちか。ここは我が狩猟場。お前たちも我の狩の獲物となるだけだ。そして地上に出て、ロヒーニの腸をいただいてやろう」
カルティリファクスは毒沼に飛び込むとアダルトグリーンドラゴンに変化した。12レベルの強敵。場所は広くて毒の沼地のあるドラゴンの巣。
不利な状況であったがプラチナの飛行移動、リンボリーの火力、ベアトリスのテレポート、アシュタールの移動阻害、ギルタークの投げナイフ。全ての力を結集してドラゴンの討伐は成された。ドラゴンの巣には15000Gpもの大金、様々な宝物、そして呪力の底に繋がる通路があった。
遭遇3:呪力の底
カルティリファクスの巣から、呪力の底と呼ばれる祭壇に出ることができた。ここがヘルム砦をおかしくした魔力の集合点。何者かに整備され、石造りの宗教的施設の様相となっている。この地を守り、維持するのは、人の肉体を寄せ集めたようなフレッシュゴーレムと、ファウルスポーンの成れの果てだ。
リンボリー「こいつら倒せば金になんのかねぇ」
ベアトリス「正義を行うのだから、儲かりもするだろう」
彼らの攻撃は非常に苛烈であったが、冒険者たちも切り札を連続で切り、この場を何とか切り抜けた。
冒険者たちは呪力の座を打ち壊し、ヘルム砦への魔力の流出を止めた。これにより、呪痕の増加、暴走もある程度は落ち着くだろう。だが、この事態の影で暗躍するものたちがいたことは、まだ誰も知らない。
エンディング:次回予告
呪力の座が破壊された音が響いた直後、暗がりの中で全ての束縛から解き放たれた女が目を覚ました。彼女は妖艶な笑みを浮かべると地上への歩き出した。
風雲急を告げるネヴァーウィンター地方。帰還したウォーターディープの公開卿ダカルト・ネヴァレンヴァー。光り輝く騎士団を従えたこの男が囁く、「今、この地にいる者は誰も信じられない」。
次回、ネヴァーウィンターキャンペーン「疑惑」。
策謀の真実は、明らかになるのか!