緋ニッキ

東京近郊のTRPGプレイヤー緋のブログ。トーキョーNOVA THE AXLERATIONのシナリオ、ダブルクロス等のダイスアプリ、Skypeオンセのノウハウ等を公開しています。

ネヴァーウィンター・キャンペーン 第三話「ヘルム砦」

黒野さんDMでD&D 4th ネヴァーウィンター・キャンペーン・セッティングを基にキャンペーンを遊んでいます。第三話も超楽しかった!今回は諸事情により、妖くん/ギルターク(ドラウの傭兵団ブレガン・ドゥエイアゼの暗殺者)はお休みです。

 

第三話「ヘルム砦」

1幕「謁見」

絢爛たる政治の世界に棲む者は、権力を遊戯にする。ニュー・ネヴァーウィンター運動の指導者の居城「正義の館」も、穏健派と強硬派によるゲームの盤上と成り果てている。

公正と正義の番人を自称するダカルト・ネヴァレンバー卿は、大裂溝から湧き出した魔物たちと冒険者たちの戦いについて、「無辜の住民を守るための真の英雄の戦いであり、拝金、帝国主義の権化にはできない行為」として称えた。軍隊が効果的な活動が出来た背景には冒険者達の決死の戦いがあったからこそだと。

ベアトリス・ウィンターホワイト(緋のソードメイジ、ニューシャランダーのエラドリン)は、ダカルト卿がとびきり有能な悪党であることを確信した。この男は、守護卿の権力を最も効果的に見せるタイミングを見計らい、軍隊を動かした。冒険者達の戦いなど彼の壮大な叙事詩の一部にすぎない。彼がネヴァーウィンターとニューシャランダーに何をもたらすのか、慎重に見極めなければならない。

プラチナ(はた×弐さんのブレードダンサー、ハーパーエージェント)がキムリルの殺害についてダカルト卿に聞いた。ダカルト卿は殺害する動機がないことを強調した。キムリルは反守護卿を掲げる組織の「アラゴンダーの息子たち」の指導者ではあったが、死んで英雄となり、崇められるようになるくらいなら、捕らえるべきだと考えていたと。道理ならば、その通りだ。

このとき、ベアトリスは視線に気づいた。ニューシャランダーを出たときから、感じていた何者かの視線。同胞とキムリルを殺し、ネヴァーウィンターの影で暗躍する者がこの場にいる。

2幕「依頼」

ダカルト卿との会談において、“幻王”アシュタール(夏瀬さんのアーデント、ネヴァーウィンターの真の王族の血を引く者)が彼の出生を告げた。「私はアシュタール。ネヴァーウィンター王家の末裔だ。この地の行く末について、ダカルト卿と話をしたい」

ダカルト・ネヴァレンバーは彼の取り巻き(彼の権力に従う者もいれば、隙を伺う者もいる)の様子を視線で確認し、アシュタールが危険な男だと確信した。今の時点では大した力はないが、アシュタールが本当にネヴァーウィンター王家の末裔ならば、守護卿に逆らう者達の旗印になりかねない。

ダカルト卿「ナシャー・アラゴンダーの息子に玉座を渡す用意はある。この地に安寧をもたらした後であればね。この地には諸勢力が目を光らせており、今すぐにとはいかない」
アシュタール「王になるつもりはない。この地に安定をもたらすことが重要だ」
ダカルト卿「いずれにせよ、この地において民衆に貢献し、彼らの信頼を得なければ目的は果たせないだろう。君達の手を借りたい。ヘルム砦に“呪痕”を持つ者(ネヴァーウィンターで発生した呪文荒廃の汚染により、心身が変化した者)が流れ込んでいる。治安が著しく悪化しており、ヘルム砦の守護隊長のダンフィールド、評議会の議長であるアリサーラ・カラムが困っている。彼らに力を貸してくれないか」

3幕「モルダル・ヴェイ」

ネヴァーウィンターの力ある貴族。ティーフリングには珍しい金色の瞳を持つ。守護卿の協力者で、あふれ出すような魅力を持つ人物だ。

彼は冒険者たちにヘルム砦について語った。ダカルト卿は“呪痕”持ちの活動範囲をヘルム砦に限定し、彼らを押し込めることで、ネヴァーウィンターの軋轢を一箇所に留めている。ヘルム砦は“呪痕”持ちにとって、ネヴァーウィンターの最後の居場所であり、彼らのための自治区となっている。そして、冒険者達にいずれ自らの屋敷に訪問してほしいと告げた。

彼は笑顔を見せているが、瞳の奥で冒険者達を観察している。その笑顔の裏にあるものが何であるか、この時点では見通せなかった。

4幕「千の顔の家」

冒険者達が目的を確認した。

  • アシュタールは民衆に貢献し、支持を得るためにヘルム砦に向かう。
  • ベアトリスはダカルト卿の周囲で暗躍する勢力の尻尾を掴むため、アシュタールに協力する。
  • プラチナはキムリルの死の真相を知り、彼女の遺志を継ぐためにこの冒険を続ける。

彼らは準備を整えると、ヘルム砦へと向かった。

5幕「ヘルム砦」

ヘルム砦には“呪痕”持ちが集まり、それを迎え入れる気風が強い。しかし、すべてがそうであるわけではない。ヘルム砦には“呪痕”持ちに反感を持ち、彼らを追い出そうとする者たちもいる。それに対して、“呪痕”持ちたちが「紺碧の後継者」という狂信的集団を作り、平和的/暴力的に反感に抵抗している。

冒険者達に“呪痕”持ちに反対する若者達がちょっかいを出してきたが、ベアトリスの逆鱗に触れて制圧された。彼らの活躍を見たヘルム砦の評議会のメンバーによって、冒険者達は評議会の議事堂――元は“龍の篭手”という宿屋だった――にいる彼らの指導者達の前に連れられてきた。

ヘルム砦の守護隊長のダンフィールドは皮肉屋で高潔な人物だった。ダカルト・ネヴァレンバー卿の不況を買ったが故に「ヘルム砦」に飛ばされたが、だからこそ誠実に職務に勤めている。

評議会の議長であるアリサーラ・カラムの前歴は明確になってはいないが、着衣の紋章からおそらくコアミアのパープル・ドラゴン・ナイトの一員だったのだと推測される。パープル・ドラゴン・ナイトは人類世界の最強騎士の一角だ。彼女は他人に誠実さを喚び起こす能力を持っており、ヘルム砦の評議長に祭り上げられている。

アシュタールが要件を、冒険者がヘルム砦へ来た経緯を説明した。ダンフィールドは「ダカルトの野郎が左遷するくらいだから、お前達は有能だろう。ヘルム砦で働くことに異議はない」と言う。しかし、アリサーラ・カラムは憂い顔だ「“呪痕”持ちを排斥する住民はまだ多くおり、今朝も“呪痕”持ちの子供が下水道に拉致・放置されていることが分かった。下水道は荒廃モンスターの巣窟だが、今すぐに救助部隊を出せる余力は評議会にはない」

ベアトリスは言った。

「子供の救助は我らに任せろ。エラドリンと私の仲間に子供の命を大事にしない者などいない。ヘルム砦の住民同士のいざこざは、よそ者では解決できない問題だ。貴方がたに対応してもらう他ないだろう」

ヘルム砦の地下下水道への冒険が決定し、冒険者はダンジョンへの突入した。

5幕「ヘルム砦の地下下水道」

ヘルム砦の地下下水道は複雑に入り組んだ構成となっており、そこを棲家に選ぶ“地下生物”や“荒廃”クリーチャーの数も多い。遭遇は3つあった。

①“荒廃ゴブリン”とキャリオンクロウラー

最初の遭遇は荒廃ゴブリンとキャリオン・クローラーだった。突出してきたキャリオン・クローラーを行動する前に殺しきる作戦が功を奏し、最小限の被ダメージでのみこの戦闘を切り抜けた。(ベアトリスの回復力10→9)

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②グールとスケルトン

第二遭遇は厳しい戦いになった。グールには強力な噛み付きが、スケルトンには一定以上ダメージを受けると爆発する機能が組み込まれており、狭い橋の上での戦闘となった。長時間を戦い、プラチナとベアトリスがデスレイをロールすることになった。戦闘には勝利したが、ベアトリスの回復力は9→1になった。

図はプラチナとベアトリスが倒れており、PC側がアシュタールしか立っていない状態である。

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③アボレスの尖兵:心歪ませるナシック、グレルの絞殺者

ダンジョンの最奥で子供がナシック(呪文荒廃により生み出された一つ目の魔物、凝視した相手の心を歪ませる能力を持つ)が子供の精神に歪みを作り続けている。突出したプラチナに、死角から飛び出してきたグレルの絞殺者が突撃する。ベアトリスの計算どおりに時限が歪み、グレルの絞殺者はナシックへの同士撃ちをはじめる。

この戦闘で冒険者は勝利することができた。しかし、救出した子供は呪文荒廃によって心を持っていかれていた。ここまでいくと、もはや誰にも救えない。ヘルム砦に戻ると、「癒し手ロヒーニならばなんとかしてくれるかもしれない」という助言があり、ロヒーニの元に向かうことにした。

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6幕「ヘルム砦の予言者」

ヘルム砦の予言者、“癒し手”ロヒーニはネヴァーウィンターに重要な出来事が起きるときを予言することで女予言者と呼ばれるようになった。彼女の予言は真実となる。

彼女は定命の存在の理解を超えた尋常ならざる神秘の知識を有しており、その知識故に予言を行うことも、呪文荒廃の影響を“癒し”、浄化することもできるのだと言う。実際に、彼女の奉仕の元では治療者は痛みを忘れ、安息の表情を浮かべている。

ロヒーニは40歳程の美しい女性だった。どぎつい美しさではなく、彼女が笑うと安らいだ気持ちとなり、誰もが微笑みをうかべる。

「私のロヒーニ。癒しの力で彼が回復できるか、確かめてみましょう」

7幕「アシュタールとベアトリス」

子供の治療を見守る中で、アシュタールがベアトリスに問うた。

「大裂溝から湧き出した魔物たちとの戦い、ヘルム砦の少年を救うための此度の戦い、何故それを率先して行う?ベアトリスにとって、これは異種族の問題に過ぎないだろう」

ベアトリスは答えた。

「正義に種族など関係あるか。それが正しいからそうしただけだ。ヒューマンとは異なり、エラドリンは多くがそう答えるだろう」

アシュタールは「貴方を信頼する」と伝えた。

ベアトリスは「信頼の交換はもう済ませた。君がダカルト卿と対抗できる足場を見つけるために協力しよう。ニューシャランダーの指導者に面会させるこの街の指導者には、君という人間が相応しい」と答えた。

7幕「次回予告」

癒し手のロヒーニとは何者か、彼女の療養所には何があるのか?

モルダル・ヴェイの真の目的とは?

次回へ続く!