緋ニッキ

東京近郊のTRPGプレイヤー緋のブログ。トーキョーNOVA THE AXLERATIONのシナリオ、ダブルクロス等のダイスアプリ、Skypeオンセのノウハウ等を公開しています。

グランクレスト・バルレアの瞳・キャンペーン 第二話「幼年期の終わり」

夏瀬さんGMのグランクレスト・バルレアの瞳・キャンペーン第二話「幼年期の終わり」です。相変わらず超面白いです。キャンペーンなので、備忘録を兼ねたプレイメモ。

 

第二話「幼年期の終わり

1. アカデミーサポート

ウィステリア騎士団領の領主であるジェイス・ウィステリアは世継ぎ争いに嫌気がさし、バルレア半島に流れ着いた元貴族だ。彼はこの地に流れ着いた棄民たちをまとめ、この地を第二の故郷として、領地の発展に血を流してきた。

ベリナスを慕うタリア・ウィステリア(粥さんのアーティスト)がサンドルミア王国第三王子のベリナス・ベルダディエ(妖くんのロード)に問う。

「ジェイスは私たちのために血を流す領主だ。お前はウィステリア騎士団領に兵力を求めて来ただけだろう?お前達の求めに応じて血を流すのは私たち民だと言うのに」

ベリナスは応える。

「バルレア半島の諸勢力にとって“バルレアの瞳”に深く食い込んだウィステリア騎士団領の位置は垂涎の的だ。この地は否応なく戦乱に巻き込まれる。これに対応するためには戦力が要る。私は君達と共に戦い、血を流すためにこの地に来た。それだけではない、この地をサンドルミアの飛び地と見做し、アカデミーサポートを導入する」

アザスカ・ロートリンゲン(黒野さんのメイジ、スレイマンという名を捨て、貴族としての名前を買ったため名前変更)が補足する。

「アカデミーとの契約により、この地に薬・食料・魔法・技術を導入する。未開の地に英知の火を灯すのだ」

ジェイスは応える。

「あなた方は有能だ。……バルカ、タリア、彼らの申し出に応え、次回のバルレアの瞳探索時にアカデミーとの最短行路を開く」

アザスカがベリナスに耳打ちをする。

「……我々は罪深いですな」

ベリナスの回答は無かった。

2.夢の中で見る夢

バルカ(緋のPC、投影体)の目前で、太古の術式で固く封印された巨大なゲートが開く。

奥にいるのは四英雄、500年前のバルレア辺境伯ヴェロニカ・“バルカ”・クライシェ(500年前、“バルレアの瞳”に攻め込んだ時点のバルカ)とその軍勢。

ヴェロニカが告げる。

「かつて私は英雄達と“バルレアの瞳”に挑み失敗した。アトラタン大陸全体が混沌の排除のために力を結集できた理想の時代でだ。人間同士の争いにかまける時代に生きるお前が何をやろうが、“バルレアの瞳”の攻略はできない。お前が何をやろうと無駄なことだ、半身よ」

バルカは答える。

「ヴェロニカ・クライシェ。私は当時のお前の理想そのものだ。故に、無駄だとしても諦めることが選択肢に入ることはない。理想に欠けたものなどないのだ」

ヴェロニカが答える。

「いずれ、わかるさ」

巨大なゲートが閉じていき、現実へと引き戻される。

3.ソルとカイ

大工のマイケルの弟子、ソルは将来有望な次のリーダー候補だ。10年以上前、“バルレアの瞳”から溢れた混沌投影体の暴走により、ウィステリア騎士団領の多くの人間が殺され、彼自身も重症を負ったが、今では弟のカイを支えながら立派な青年になった。ソルの大工としての最初の大仕事は、ベリナスたちの家を作ることだ。彼は大仕事に燃えている。

ソルの弟のカイは忘れっぽくお調子者で、まだ子供だ。タリアに対しては歳が上だというだけで兄貴分ぶる。「どうせ兄貴が全部やってくれるよ。俺の自慢の兄貴がな」 これが彼の口癖。そんな彼だが、領地の皆は不思議と同情的だった。 彼の家族が、領地を守って死んだことを理解しているからだ。

カイが今年の魔境攻略へ参加することが決定した日の夜、慰霊碑の前。タリアはカイと会話をしていた。先日からジェイスの屋敷に逗留しているサンドルミアの王族達への悪口。“バルレアの瞳”から多くの被害を受けながら、“バルレアの瞳”から得られる希少な混沌資源によって成り立つウィステリア騎士団領の経済の話題。

カイとタリアの問答。

「バルレアの瞳が無くなったら俺たちはどうなるんだろう」

「分からないけれど、今よりきっと良くなるよ」

4. ベリナスの誇り

一方、ベリナスはソルと会話していた。ソルは昔、混沌投影体からの襲撃で、深い傷を負ったことがある。それでも、弟のカイが、成人の儀式の一環で“バルレアの瞳”の攻略に参加することには肯定的だ。“バルレアの瞳”を理解しなければ、この辺りでは大人と認められることはない。

ソルと話し終えたベリナスにバルカが声をかけ、ベリナス、アザスカ、バルカで夜語りをする。バルカがベリナスに問うた。

「ベリナス、お前がこの地に貢献するのは自らの力を示すためだろう。それはいい。ウィステリア領の利益と一致するからだ。しかし、お前はそれだけで満足するのか。民を使い捨てにして魔境を攻略しようとしたかつての支配者、ヴェロニカ・クライシェと同じではないのか」

ベリナスは答える。

「民を使い捨てになどしない。すべては父や兄弟に俺の誇りを見せ付けるためだ。俺は俺の誇りのために戦う」

「それがお前の理想か。ならばいい。お前が死ぬときまで、その誓いを忘れるなよ」

バルカは立ち去った。アザスカがベリナスに言う。

「古代の飾り、鎧の紋章。まるで古代の帝王のごとき覇気。殿下、あの女には気をつけたほうがいい」

5. 出立

部隊の編成をする際にウィステリア騎士団領唯一の医師であるウィスラーが高品質の毒消し薬(強度10の毒まで効果を発揮する)を提供する。アカデミーでも用意していない英知の入手手段をアザスカが問うと、ウィスラーは人の過去を詮索するなと応えた。この医師にも、何か物語があるのだろう。

6. バルレアの瞳探索(秘境)

今回のバルレアの瞳は5マス(時間ぎれで4マス)の直列型のマップだった。病魔の庭2レベル、火炎獄1レベル、水晶の尖塔1レベルの組み合わせで1ターン加算されるごとに2d6+2(体内)、1d6+2(炎熱)ダメージが入る。狼の群れと戦い、休憩を取ることすら辛い状況だったが、探索の結果はすこぶるよく、大量の混沌資源を入手した。

混沌核は、数百年前のクライシュ家の紋章をつけた古代の軍勢に護られていた。ファイアボールを使いこなすメイジを筆頭とした強力な軍勢だったが、PC達の防御は固く、ほとんどダメージを被ることなく、勝利を得ることができた。

7.ウィステリア騎士団領への襲撃

同時刻。ウィステリア騎士団領の村落は“バルレアの瞳”からあふれ出た混沌投影体によって襲撃されていた。10数名が負傷し、瀕死の重傷を負ったものが1名。ソルだ。

村落からのぼる煙にめがけて急ぎとって返す、PCたち。村に辿り着いたときにはソルは死に瀕していた。常人ならば絶対に助かることの無い致命傷。しかし、アザスカの治療魔術、タリアの看病、ウィスラーの医療技術、そして天運混沌により命を留めた。

タリアがアザスカに礼を言い、アザスカが答える。

「私たちを使い捨てにするなどと言って悪かった」

「ここで我々の有能さを見せつけなければ、殿下の目的には遠回りになるだけさ」

ベリナスが言う。

「もういい。ソルがいなくては、誰が俺の家を建てるのか」

8.四英雄の詩

襲撃の爪あとが収まった頃。ジェイスの屋敷に鉄笛の曲が響いていた。歌詞の伝わっていない、ジェイスの好きな古代の曲。

ジェイスがバルカに尋ねる。

「君ならば、この曲の歌詞を知っているのではないか」

バルカは、かつてのバルレア半島の領主、ヴェロニカ・クライシェと共に冒険をした四英雄を讃えた詩だと答えた。だが、同時に歴史書を紐解く限り、ヴェロニカの“バルレアの瞳”遠征失敗の爪痕は、今もバレルア半島に多くの負債を残しているとも伝えた。

「憧れられるべきは、ジェイスやベリナス、君たちの方だ。偉業をこれから為しうるものは、今を生きるロードだけだ。君は誓いを果たすまで生きろ、ジェイス」

9.継承

カイがウィスラーの元に訪れる。彼は命を救う医者になると誓った。

同じ日の夜、ジェイスは所持する聖印の9割をベリナスに譲渡した。

「生を永らえるための最低限の聖印を除き、君に譲渡する。これから、私はより長く君たちを見守るために生きることを目指すよ」

アフタープレイ

成長:レベル2→3

カウント:4100→22500

爵位:騎士→子爵